足立朝日

足立に地域FMを 開局めざして進行中!!

掲載:2011年5月5日号
 地域FMの存在が、東日本大震災によって注目されている。地元の細かな情報発信は、被災地での大きな拠り所となっている。
 足立区にもFMを開局しようと、活動し続けている人たちがいる。95年設立の足立コミュニティFMフォーラムを前身とする足立FM開局準備会だ。
 代表を務めるのは、フリーアナウンサーの宮﨑誠弥(まさや)さん(39)。お隣の葛飾FMを立ち上げた一人だ。花畑小、十三中、淵江高校出身の足立っ子。エフエム富士(山梨県甲府市)の局アナウンサー退職後、葛飾区教育委員会、トステム、三井物産、NTT‐MEなどを経て、現在はフリーランスで活動している。
 前身の足立FMフォーラム時は、周波数の問題があり、区が断念したことから中断。葛飾FMが先を越すこととなった。
 「足立区は珍しく人口が増えている区。新しく来た人たちにとって一番困るのが、区の情報がないこと」。宮﨑さんは区の土地柄を、「同じ区内でありながら」文化圏が分かれている」と分析する。足立区は犯罪が多いと言われるが、自転車盗などがほとんどで、凶悪犯罪は少ないことは知られていない。その誤解は、区内でもあるという。「速報性と横のつながりが弱い。ラジオを通して、新しい区民と昔からの区民が交流できるのでは」との期待がある。
 ラジオ世代というと一昔前というイメージがあるが、愛聴者は実は多い。葛飾FMは区民の半数以上がリスナーで、深夜の番組は特に人気という。震災時には倒壊家屋などの危険情報などを区がいち早く発信し、防災に役立った。
 テレビと違い、しゃべる人間がいれば情報を素早く発信できる手軽さが、ラジオの強みだ。

今こそ必要な時
 ここへ来て、開局に向けて大きく前進した。以前は、区全域カバーが総務省の許可条件だったが、その後の規制緩和により可能となった。都内に周波数は残っていないと思われていたが、昨年、区のほぼ全域をカバーできる周波数を見つけたことも大きい。準備会は4月13日(水)、総務省関東総合通信局に「潜在電界強度測定報告書(※)」を提出。技術検討後、問題がなければ申請書を提出することになる。
 足立区は海抜ゼロメートル地帯にあり、災害時には様々な被害が予想されている。足立区独自のFMができれば、それら防災の情報伝達だけでなく、ラジオの電波を使って大切な人に想いを伝えたり、メッセージを好きな曲と一緒に流したり――なんてシャレたこともできる。自分たちの街のFMでわいわい盛り上がる日も、遠くないかもしれない。
 「自分の街に誇りを持って欲しい。FMで全てがうまくいくとは思わないが、かすがいになれば」と宮﨑さん。実現すれば、FM局を個人が立ち上げるのは初。「東京での新しい周波数と合わせて、二重のインパクトがある。足立区のイメージアップになる」
 準備会では年内の開局を目指して、出資者、バックアップしてくれる企業を募っている。問合せは準備会事務局TEL050・5554・260
1、メールまで。
 またHPで開局先行番組「アダチ区民放送局」を毎週土曜23時から生放送中。
【※メモ】潜在電界強度測定報告書=放送しようとしているエリアに、他の放送局の電波がどのくらいの強さで届いているかを測定した、FM開局の申請には不可欠な資料。

写真上/2009年のA‐フェスタに出展。アダチンのぬいぐるみを話題に放送=虹の広場で
下/代表の宮﨑さん