足立朝日

羅針盤 Vol.14

掲載:2011年5月5日号
 東日本大震災の発生とともにおびただしく流れ、今も時々流れているAC(公共広告機構)の広告は、全般的に評判が悪い。一般の企業広告が〝自粛〟で入らなくなったため、民放はやむなくこのAC広告に頼っているのだが、同じものの繰り返しで耳につく。 特に気になったのは「日本は強い国。必ず立ち直れる。信じてる」というCM。これなどは、被災者を激励しているつもりだろうが、「精神論」の最たるもので、みんなが展望もなく、うちのめされているというのに、何寝言を言ってんだという感じ。言わされているタレントはかわいそうだと思うが、「これはちょっと空気を読んでないぞ」と思ったら、異議を唱えたらいい。
 こういう状況で、「頑張れ、ガンバレ」の激励は、精一杯頑張っている被災者にとって、これ以上何を頑張ればいいのか、負担になるだけだ、という意見は正解だ。「無理しないで」とか「みんな一緒だよ」などが、今の被災者の気分に一番寄り添っている言葉ではないか。(編集長)