足立朝日

羅針盤 Vol.12

掲載:2011年3月5日号
 私はラジオが好きで、特に文化放送の大ファン。系列化著しいマスコミ業界でこの放送局はどこにも属さず、自立しており、また何とも人間臭い番組が多くて、好きだ。
 車の中で聞いた朝の番組で、この日のコメンテーター、落語家の立川志らく(談志の弟子で、この人の映画通ぶりはすごい!)が、「文化の価値がわからない日本人が増えているのはゆゆしきこと」と、具体的な例を幾つも挙げながらボヤいていた。昔の名作映画が何本も入った激安DVDがあるらしいが、激安なので、洋画など画像は本物でも、翻訳が滅茶苦茶で、字幕は下手な翻訳のセリフが3、4行にわたり、読み切れないし、男と女のセリフが入れ替わっていたりで、「ひど過ぎる!」。
 確かに、文化のみならず、すべてが粗雑、粗悪のオンパレード。テレビ、特に民放は、芸能人のクイズ大会一色で、ニュースも一部を除いて表面を撫でるばかり。これでは、「一億総白痴化【注】」は当たり前。「本物」がどんどん隅に追いやられて行く。立川志らくならずとも、嘆息の日々が続く――。 (編集長)
【注】社会評論家の故大宅壮一が生み出した流行語。「テレビばかり見ていると、人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という意味合いの言葉。