「おくやまに紅葉(もみじ)踏み分けなく鹿の声きくときぞあきは悲しき」(百人一首第五番、猿丸太夫)。
「人間にとって自然との触れ合いが一番大事ではないでしょうか」。こう語るのは、1面に登場した伊興・薬師寺の浅川住職。
昨秋、車イスに乗った痴呆症の夫と介護する妻が揃って同寺に
〝紅葉狩り〟に来た。妻が、突然「この人が笑った!」と奇声を発した。いつもは、どんな言葉をかけても無表情、無反応の夫が、である。
今夏の猛暑。住職によると、庭のモミジたちは、本体を護るために、葉にいく水を止め、紅葉して落葉を急ごうとしたという。
住職は、「モミジは秋もいいけど、実は春先の芽出しはもっとすばらしい」と言う。落葉した枝の先から越冬した若芽がぐいっと飛び出して、ぐんぐん伸びる、伸びる……。
〝市場原理〟によって破壊された人間性の回復への早道は、自然の保全と自然との共生であることは間違いない。(編集長)
「人間にとって自然との触れ合いが一番大事ではないでしょうか」。こう語るのは、1面に登場した伊興・薬師寺の浅川住職。
昨秋、車イスに乗った痴呆症の夫と介護する妻が揃って同寺に
〝紅葉狩り〟に来た。妻が、突然「この人が笑った!」と奇声を発した。いつもは、どんな言葉をかけても無表情、無反応の夫が、である。
今夏の猛暑。住職によると、庭のモミジたちは、本体を護るために、葉にいく水を止め、紅葉して落葉を急ごうとしたという。
住職は、「モミジは秋もいいけど、実は春先の芽出しはもっとすばらしい」と言う。落葉した枝の先から越冬した若芽がぐいっと飛び出して、ぐんぐん伸びる、伸びる……。
〝市場原理〟によって破壊された人間性の回復への早道は、自然の保全と自然との共生であることは間違いない。(編集長)