足立朝日

羅針盤 Vol.3

掲載:2010年6月5日号
 「歳をとると子どもに返る」の本来の意味は、体面や外聞を気にせずに本音を言う、ということだと思う。
 今回は「子どもに返った」お年寄りのいいお話。
 主人公は区内在住の70代のお年寄り。近所の犬が、朝から晩まで吠えっ放し。しつけが出来ていないのか、犬の欲求がわからないのか、無視しているのか。静かな住宅街で、陰でブツクサ言うだけで、誰も何も言わない。 
 そんな、ある日、犬の「ワンワン」が始まった。そのおじいちゃん、部屋の窓をガラッと開け大声で「誰だ! こんな真っ昼間から、犬を鳴かしている奴は!みんなうるさくて困っているんだ! 早く鳴くのをやめさせろ!」と大演説。
 すると、しばらくして鳴き声が止んだ。翌日、その家人が、おじいちゃん宅に「申し訳ありませんでした」と謝りに来たとのこと。
 最近は、何か意見や物を言うと、逆ギレされされかねないので「黙して語らず」が常識になっているようだが、TPO(時と場所、状況)をわきまえつつも「子どもに返る時は、しっかり子どもに返らないと……」と思う昨今だ。(編集長)