足立朝日

うっかりもう1本! 綾瀬スマイル工房「うっかりんとう」審査員特別賞を受賞

掲載:2011年9月5日号
 1本食べたらもう1本、また1本、と、うっかり手が伸びてしまう――。 そんなおいしさを伝えたいと名付けた綾瀬スマイル工房(桑原由枝施設長/中川4‐7‐3)の「うっかりんとう」が、NPO法人全国精神障害者地域生活支援協議会の冊子「あみ」で、「商品説明及びアピール文部門」審査員特別賞を受賞した。
 同施設は、社会福祉法人あしなみが運営する精神障害者の就労継続支援事業所で、3年前からかりんとうを販売。桑原施設長は、「機械部品の組み立てやシール貼りなどの軽作業だけだと、仕事が切れるとみんな何となくバラバラ。自分たちで誇りに思える自主製品が欲しいと思った」と話す。
 職員たちが一丸となって、商品開発に取り組んだ。クッキーやパンは既に多くの作業所が手がけているため、模索の末、黒糖かりんとうに決定。全国津々浦々の商品を試食し、1年間の試行錯誤の末に自分たちだけのオリジナルにたどり着いた。
【クセになる味と食感】
 かりんとうというとサクッとした枝状のものを想像するが、「うっかりんとう」はひょろっと細長く、きしめんのような平たい一風変わった形が特徴。こだわりぬいてやっと見つけた黒糖を、たっぷりからめた表面はしっとりした不思議な舌触り。みっちり詰まった生地は固いが、中はコクがあり素朴な味わいがいい。
 ミネラルたっぷりの黒糖は体にも良く、歯応えは脳の刺激にもなる。「朝食べると、頭がシャキッとする」と、利用者にも職員にも好評。
 賞は味に対して贈られたものではないが、一度食べて病みつきになったというお客さんがいるのも頷ける。
【1つ1つ手作業】
 製造は全て工房利用者による手作業。小麦をこねて作った生地を切り、3回揚げた後に数日寝かせてから、1本ずつ黒糖を絡める。パッケージも1枚1枚ハンコを押して作り、袋詰めをしている。
 慣れた手つきで揚げる作業をしていた3人に話を聞いた。ピーさん(女性)は「女の力だと、生地を掌でつぶすのが上手く行かない」、なべさん(男性)は「1日、立ち仕事なのが大変」と苦労もある。が、「買ってくれて、また買いに来てくれたのが喜び」「自分は甘いのはダメだけど、おいしい」と笑顔は満足そう。加藤孝さんも「この場所に買いに来てくれる人がいて、うれしい」。
 「みんなまとまりが出てきたし、頑張るようになった」と桑原施設長。障害のあることを知られたがらなかった利用者たちが、工房の名札をつけて外出するようになったことも変化の一つという。自分たちが本当においしいと思える商品を提供していることが、大きな自信につながっている。
【工房で販売】
 「うっかりんとう」は3本入り120円。電話で注文(遠方は送料別途)。TEL5697・5383綾瀬スマイル工房。
【その他の販売場所】
 ふれんどりぃ(竹の塚6‐18‐12 TEL3883・7177)、茶房ゆうあい(区役所北館2F TEL3800・5525 ※130円)、都市農業公園収穫祭(10月23日㈰/TEL3853・4114)。収穫祭では1時頃に売り切れるので、お早めに。

写真上/左からピーさん、加藤さん、なべさん
写真下/味もパッケージもみんなで相談しながら決めた、自慢の一品