足立朝日

東京都人権擁護委員連合会会長 全国人権擁護委員連合会副会長 油井 久仁子さん(69歳)

掲載:2011年9月5日号
西加平1丁目在住
「家庭」を柱に人権擁護活動邁進


 「東京都人権擁護委員連合会会長に油井久仁子氏が、東京人権擁護委員協議会会長に宮岡孝之氏が就任」という前例のないダブル人事を実現した、法務省のもとにある人権擁護委員組織団体「足立地区人権擁護委員会」。
 足立区での地道な取り組みが評価されたことを喜ぶ油井会長は、故・丹野澄子(ちょうこ)さん、荒井智惠子さん、山野井朝子さんら先人に継ぎ、平成4年に足立区の女性では4人目の人権擁護委員に就任。当時の法務大臣/故・後藤田正晴氏から、和紙の委嘱状をいただいたことが思い出に残る、と懐かしむ。
 就任から現在に至るまで、様々な役職を経るたびに人の上に立つことになり、戸惑いを感じていたころ、千住緑町在住の弁護士/故・伊集院實委員が、「あなたが手を挙げたのではなく、周囲が推してくれたのだから、胸を張って頑張りなさい」と温かく励ましてくれた。
 女性団体連合会会長時代を含め、油井会長には1本の確固とした柱がある。それは、何よりも慈しみ愛情を注いできた「家庭」。ここから油井会長のあらゆる活動がスタートしているため、「安心して帰れる場所」があることで、自身に課せられた責務に全身全霊で立ち向かえるのだろう。普段は穏やかな油井会長が、会長として物を言うべき時の、相手に立ち向かう筋の通った言論には、爽快感溢れる強さがある。
 平成20年に、法務大臣表彰を受けた際には、全国からの受賞者の代表として、挨拶の言葉を述べる機会を得た。
 保護司としても20年の経験を持つが、教育委員、そして、教育委員長の責務も重なり、社会で必死に更生しようとしている相手と対峙するには時間が不足と、後ろ髪を引かれる思いで保護司を辞した。これまで関わったどの役職も、それぞれ永い年月をかけて誠実に全うする姿が、周囲の信頼を厚くする所以(ゆえん)である。
 都連会長就任後、7月に広島で開催された「全国人権擁護委員連合会総会」に出席。「いのち」をテーマにしたプログラムに心打たれた。
 来年、発足60周年を迎える全連は、総会・研究大会を東京で開催することを決定。油井会長は、さらに全連の副会長に就任し、それらの責任者として活躍の場を広げる。