足立朝日

羅針盤 Vol.20

掲載:2012年3月5日号
 新聞で私が好きなコーナーの一つは「読者の声」コーナーだ。朝日新聞で言えば「Voice声」の欄。
 読者の皆さんも同じだと思うが、ここで、自分の考えと違う論調の投書と遭遇すると、一日中やや不愉快になる。これに対し、投書が、自分が普段感じていること同じだったりすると、妙に心地よい。
 最近では、「会話のない世の中は、殺伐として寂しいです」と2月28日(火)の「声」欄で訴えた埼玉県日高市の39歳の飲食店経営の女性の論調はグッド。この方は、朝日新聞朝刊の人気まんが「ののちゃん」の内容にひっかけて、「私は
〝レジ袋不要〟のカードが嫌いです。なぜ直接言わないの、ちゃんと口があるでしょ、と思ってしまいます」とスーパーでの出来事を紹介している。同欄では、その前にもコンビニなどで商品を受け取る時、お客が「ありがとう」とか「すみません」とか声を出そう、と訴えた投書なども載せて
 〝沈黙化する社会〟に異議を唱えている。
 東日本大震災から1年。「絆(きずな)は言葉から始まる」――。(編集長)