足立朝日

日米さくら交流100周年 桜親善大使と五色桜合唱団が渡米

掲載:2012年4月5日号
 今年は足立区の荒川堤の桜が、アメリカ・ワシントンのポトマック河畔に寄贈されてから100周年。
 それを記念して4月にワシントンで行われる桜祭りに、足立区から区民桜親善大使と、民間の団体「日米桜交流100周年市民交流実行委員会」が訪れる。
 そのプレイベントが3月16日(金)、区役所ロビーで開かれ、組曲「足立の五色桜物語」などが披露された。
〈桜親善大使〉
 区民桜親善大使の委嘱を受けたのは、「江北村の歴史を伝える会」会長の浅香孝子さん。
 戦前、足立区江北の荒川堤は、様々な色の桜が咲きそろう様子から「五色桜」と呼ばれ、花見の名所だった。同会はその歴史を伝えたいと、「江北の五色桜―荒川堤の桜ガイドブック―」を発行するなど、熱心な活動を続けている。
 近藤やよい区長、吉岡茂議長から嘱託状を受け取った浅香さんは、「足立区が栄えていること、アメリカからの桜のお返しがあったからこそ、と伝えてきたい」と挨拶。桜祭りのステージで、区長、区議会議長連名のメッセージを披露する。
〈五色桜組曲をカーネギーホールで演奏〉
 プレイベントでは、オリジナル組曲「足立の五色桜物語」の一部も、五色桜物語合唱団によって披露された。17曲からなるこの組曲は、なんと4月に由緒あるニューヨークのカーネギーホールで上演が決まっている。
 主催は「日米桜交流100周年市民交流実行委員会」(田口芳子委員長、大西進団長、高野美代子副団長)で、合唱団150人を含む165人が渡米する。
 きっかけを作ったのは、NPO法人「五色桜の会」代表の大久保美智子さん。郷土博物館勤務時に五色桜の歴史を知り、「舞台で五色桜の物語を伝えたい。毎年集まって歌や舞台を上演すれば、みんな忘れない」と思いついた。
 作曲家の大西進さん、元公園課長の渡邉隆夫さんとともに、2007年にポトマックの桜を訪問した際、大西さんが「カーネギーホールでやれたらいいね」と一言。大久保さんも最初は不可能だと思っていたが、コーディネーターを通して話を進め、ついには実現にこぎつけた。
 組曲の作詞は、「プロに頼むよりも、五色桜に熱い想いのある人に」と、「江北の歴史を伝える会」会長の浅香孝子さんにも依頼。作曲した大西さんが合唱を指導しているメンバーと、足立区合唱連盟理事長・田口芳子さんが指導する「コーロ・フェニーチェ」のメンバーで五色桜物語合唱団を結成。一行はワシントンの全米桜祭りに参加した後、4月16日(月)、夢の舞台に立つ。
 企画を進める途中で、東日本大震災があった。アメリカの人々の支援に感謝を伝えたいと、NPO法人地域の芽生え21が被災地の廃材で作っているストラップ「心柱(ここばしら)」を、現地でプレゼントする予定という(3面参照)。
 かつて海を渡った桜は、今回も日米の人々の絆として、しっかりと心をつないでくれるに違いない。

写真上/区長から委嘱状を受け取る浅香さん(左)=区役所で
中/大西さんの指揮で、組曲「五色桜物語」を披露する合唱団
下/五色桜組曲の発案者の一人、大久保さん