足立朝日

足立区に私設美術館 六町ミュージアム・フローラ開館

掲載:2012年6月5日号
 区内に私設の美術館「六町ミュージアム・フローラ」(一般財団法人)が誕生、6月1日(金)にオープンした。
 常設展示と貸しギャラリーを兼ねた2階建て。無料で開放した4月の仮オープンには、近隣の住民が多数来場し、「こういう雰囲気の場所はあまりないので、うれしい」など好評だった。
 館主は、白谷建設㈱の白谷武一社長。道楽で絵画を収集してきたが、「飾る場所を作ってやりたい。自分で眺めたい」と思ったのをきっかけに、「美術品の素晴らしさを伝えたい」と一念発起。設計に2年、建設に2年。会社の資材置き場だった土地に、足立区にはほとんどない本格的なアートの拠点を作り上げた。
 1階は①花②装い③いにしえ、をテーマにした3室からなる。①②は現在活躍している画家を中心とした日本画、③は洋画も含めた近代の画家の作品が展示され、伊東深水、岸田劉生、横山大観、棟方志功、上村松園など、有名画家が並ぶ。 白谷さんの強い想いは、特に「花」の部屋に込められている。「絵は難しくない。キレイ、かわいいだけでいい。女性にゆっくりくつろぎに来て欲しい」。花への愛おしさが、館名につけたギリシャ神話の花の女神「フローラ」の名にも表れている。
 四季に合わせて、展示内容は年4回入れ替える。「日本ほど四季がはっきりしている国はない。今、家の中にいると1年間同じ。四季折々の花や装いの展示で、自然を感じて欲しい」。四季の美しさを繊細に写し取った日本画から、花の香りや風の感触を感じることができる。
 もう一つ、白谷さんがこだわったのが、「教育」。2階の「多目的室」は1年通して貸し出すが、教育目的の使用は無料で、最優先で受け付ける。「学校の美術部や課外教室として使って欲しい」
 建物は中庭にあたる部分に緑地(現在生育中)と長方形の水盤があり、常に循環する水が癒しの空間を演出。災害時の避難施設として使えるように耐震性を考えられており、雨水利用や太陽光発電など環境に配慮した作りになっている。
 5・8・11・2月は1階も貸しギャラリーとして利用できる。
 7月31日(火)まで「夏の企画展」(足立区後援)実施中。
〈六町ミュージアム・フローラ〉
【場所】六町2‐5‐35(TX「六町駅」A1出口徒歩5分)
【開館日時】午前11時~午後5時(30分前までに入館)、日曜・月曜・年末年始休館
【入館料】大人300円、学生200円
【問合せ】TEL3885・7333六町ミュージアム・フローラ

写真上/美術館は貸ギャラリーとしても利用できる
下/日本の美しさに出合える館内