足立朝日

故郷福島への思いを込めて 江北在住の静子さんが作品展

掲載:2012年6月5日号
 江北4丁目の近藤静子さん(89)が、故郷福島県白河市への思いを込めて、綾瀬メトロギャラリーで作品展を開く。
 作品は水彩画、ちぎり絵、手毬(てまり)、つるし飾りなど、多岐にわたる。
 農家だった近藤さんは、傷痍軍人となったご主人とともに30歳で上京。塗装業を始め、住み込みの従業員4人を抱える多忙な日々を送る。廃業を機に手芸を始め、ご主人の他界後、本を参考に自己流でジャンルを広げた。
 約40年間の作品は数知れないが、区内の障害者団体に寄贈するなど作るたびに人に贈り、手元に残っているのはほんの一部。同居している長女・淑江さんの夫・藤田孝夫さん(62)が、「ばばさまがせっかく作ってきたんだから、何かできないか」と作品展を提案し、実現した。
 どの作品にも、静子さんの歴史とぬくもりがある。紙を丸めて周りを糸で巻いた俵の置物は、「農家だから、昔実物大で作っていた。それを思い出して作った」。水彩画は、荷を運ぶ馬を引いている25歳頃の自分の姿を郷里の風景とともに描き、素朴な昔の田舎の様子が伝わる作品になっている。色鮮やかな手毬は、中のもみ殻を集めるのが大変だったそうだ。
 作品展が終わった後、改めてチャリティー展示会を開き、東北の復興に役立てたいという。
《静子89歳のおしゃれライフ集大成》
【日時】6月16日(土)~30日(土)、終日
【場所】綾瀬メトロギャラリー(綾瀬駅高架下、松戸寄り)
【問合せ】TEL3856・2127サロン・ド・ボー(藤田)、火・水休み

写真/故郷の水彩画や作品と静子さん=自宅で