足立朝日

不思議な野菜 「アイスプラント」でメタボ防止 アライ園芸で生産

掲載:2012年7月5日号
 「アイスプラント」という野菜をご存知だろうか。他にはない変わった見た目、味、食感に加え、メタボリックシンドロームや生活習慣病予防に役立つとして、最近注目されている野菜だ。
 舎人3丁目のアライ園芸=新井宏治代表(70)=は、23区で唯一この野菜を作っている。


◆塩味のする野菜
 肉厚の葉や茎の表面に、無数の水滴がついたような細胞があり、それが氷の粒にも見えることから名が付いた。別名はソルトリーフ。その名の通り、ほんのり塩味のする不思議な野菜だ。
 南アフリカの砂漠地帯が原産の植物で、佐賀大学農学部の研究開発によって野菜化され、バラフ、クリスタルリーフなどの呼び名もある。
 疲労回復に効果のあるクエン酸とリンゴ酸が含まれ、抗酸化作用があり老化防止に効果的とされるβカロテンが豊富。血糖値を下げるといわれるピニトール、中性脂肪の増加を抑えるとされるミオイノシトールが含まれていることから、メタボリックシンドロームや生活習慣病予防に効果があると注目されている。
 胃腸の働きを整える効果なども期待できる。夏に不足しがちな塩分も採れて、まさに一石二鳥だ。
◆アライ園芸
 新井さんは2007年、先駆的な水耕栽培で高品質な小松菜や水菜の安定した供給を実現させたことなどにより、第56回全国農業コンクール・園芸部門で毎日新聞東京支局長賞、都知事賞を授賞。挑戦を忘れない野菜づくりを続けている。
 アイスプラントの生産を始めたのは昨年。息子のお嫁さんの「面白い野菜があるから作って」という要望に応えたのがきっかけだった。販売に乗せる前に同業者に持って行ったところ、「うちの子は買って食べている」と喜ばれ、ファンが多いことを知った。
 アイスプラントは害虫や病気にも強く、農薬を使わずに水耕栽培で作れる。驚くのは、栽培に塩を使うこと。水3tに対して塩10㎏を投入した。普通の野菜なら枯れてしまう量の塩を、アイスプラントはどんどん吸収してしまうそうだ。
 「人が作っていない作物を作るってのも面白い」と新井さん。今後は、生産を増やしていく予定とか。
 今年は他にも新たにフリルレタスを生産。根元を浅く切るだけでバラバラになるので使いやすいと好評。家庭でも手軽にサラダにできるので、試してみては。
 野菜をたくさん食べて、暑い夏を乗り切ろう。
◆アイスプラントの食べ方
 やはりシャキシャキした食感と塩味が味わえるサラダが一番オススメ。
 相性のいいマヨネーズに、ポン酢、すりゴマを混ぜたドレッシングを作って、他の野菜と一緒に和えて食べるとおいしい。塩味があるので、オリーブオイルをかけるだけでもOK。
 肉厚でプチプチした食感は火を通しても残るので、天ぷらにしたり、鍋物やシチューなどに使うのもいいようだ。

【アライ園芸のアイスプラントが買える店】
 元気畑竹ノ塚店(竹ノ塚駅前東口カリンロード商店街/竹の塚6-8-16、日・水定休、1パック98円で販売)、西友・北綾瀬店(東和5-12-13、TEL5697・2201)、同赤羽店(北区赤羽2-1-1、TEL3902・0111)、西友にはフリルレタスもある。
※各店舗とも、入荷がある時のみ販売

写真上/アイスプラントを栽培する新井宏治さん=アライ園芸の畑で
下/アイスプラント。細胞が葉に水滴がついたように見える