足立朝日

　今日５日（木）からシアター１０１０で上演される「ミュージカル ひめゆり」（制作＝ミュージカル座）で、青井在住の牧野亜美さん（22）がプロとして初舞台を踏む。
　デビューが地元足立区で、しかも、俳優を目指すと決意した同じ劇場という、最高のめぐり合わせのスタートとなった。
◆きっかけはシアター１０１０の舞台
　ごっこ遊びが好きで、小１から区内の劇団アクト・ヤマナル（山下光治主宰）に参加していた牧野さんは、中３の時にシアター１０１０開設記念の区民参加ミュージカル「しあわせなモミの木」に公募で出演した。
　主演のプロの俳優、浜畑賢吉さんと舞台を共にし、役者を目指すこと決意。玉川大学パフォーミングアーツ学科に進み、在学中に外部のワークショップでも学んだ。
　周囲が次々に就職が決まり焦りもあったが、今年３月、卒業直後に受けたオーディションで、「ひめゆり」出演を勝ち取った。牧野さんが中３で初めて観て、出たかった作品でもある。
◆ミュージカル　ひめゆり
　太平洋戦争末期の沖縄戦で犠牲となった「ひめゆり学徒隊」の悲劇を、全編41曲のドラマチックな歌曲で描き、高い評価により何度も再演されてきた作品。今回、新キャストで上演される。
　牧野さんの役はアンサンブル（主要キャスト以外の大勢の出演者のこと）だが、場面ごとに何役もこなし舞台を支える重要な要素だ。
　「漁師の妻、兵士、逃げ惑う人、いろいろな役にならないといけないので心理の切り替えが大変」と牧野さん。台詞はなく全て歌。経験のない戦争を演じる難しさもある。悲劇ではあるが、作品が伝えたいのはそれだけではない。「集団自決が国から強要されていたけれど、死なない、生きなきゃ、と運命に立ち向かう。諦めないということを一番伝えたい」
　最後に全員で歌う大ナンバーがある。『生きることで何かが生まれる』の歌詞に、思いを込める。
　毎日が楽しくて仕方ないという牧野さん。「嘘のない演技をしたい。作家さんの思いを１００％届けられる役者になりたい」。やっと掴んだ夢への一歩を、笑顔で踏み出している。
沖縄本土復帰40周年記念公演〈ミュージカル　ひめゆり〉
【日時】７月５日（木）～10日（火）午後６時半、７・８日は午後１時半と６時半、10日は午後１時半のみ。＊牧野さんの出演は５日、７日１時半、８日６時半、９日
【場所】シアター１０１０
【出演】神田沙也加、保坂知寿、阿部よしつぐ、今拓哉ほか
【料金】Ｓ席７５００円、Ａ席５０００円（共に全席指定税込み）
【チケット購入】予約はメールで希望日時・席種・枚数・名前・電話番号を知らせる（牧野亜美チケット予約専用アドレス）、当日券は受付で「牧野亜美扱い」で購入

写真上／夢への一歩を踏み出した牧野さん＝自宅で
下／本日開幕