足立朝日

●『奴婢訓』の旺なつき

掲載:2005年11月5日号
新たな役に挑戦
 この5月、シアター1010で上演された「奴婢訓」で、過激なダリア役を演じた元宝塚雪組トップスター・旺なつきが、次々と新たな役に挑戦している。
 6月には、劇団スイセイ・ミュージカル「広い宇宙の中で」(博品館劇場)の赤城照代役。愛妻・和子を失った富士正太に近づき、実の弟と徒党を組んで富士家の財産を狙う。しおらしい女性と悪女の演じ分けが見事で、ストーリーの思いがけない展開に、会場からはどよめきが起った。家族に心を残し、往生できずに亡霊となった和子が、照代たちの悪事を暴こうとするが、真実の愛に目覚めていく照代の姿を見た和子は、安心して天空へと旅立つ。揺れ動く女心を演じる旺はピカ一で、来年も同作品の再演を予定。
 10月には、有吉佐和子脚本・演出「山彦ものがたり」(狛江市民ホール)に出演。山彦たちが、姿を変えながら昔話を紡ぐ「大人のメルヘン」で、旺は子ども・老婆・天女・ススキなど自由自在に変身。特に、170度に体を曲げてヨタヨタ歩く老婆役は、宝塚歌劇団で培った実力が物をいう。舞台上には岩がひとつ鎮座するのみ。あとは役者たちが体だけで表現する一風変わった舞台で、観劇後は不思議な充足感に包まれる。初演から30年を経て、今回はニューヨーク公演時のスタッフであったアンディ・ユーティックが演出を担当。詳細「山彦の会」HP
 旺から読者にメッセージ。「交通網が充実している足立区。どこへでもつながりますので、ぜひいろいろな舞台をご覧ください。またいつかシアター1010でもお会いしたいな。旺なつきは不滅です!」


旺なつき