足立朝日

湯川隆展開かれる

掲載:2005年11月5日号


 日本美術家連盟会員で、足立区展審査員として彫刻部を運営している足立区出身の彫刻家・湯川隆さんが、福島県いわき市にアトリエを構えてから14年。多摩美術大学及び大学院で舟越保武氏に彫刻を学び、さらに、イタリア・カッラーラ国立美術学院への留学経験を活かした制作活動を活発に展開中。東京、いわき市、イタリアなど各地で個展・グループ展を開催。多くの作品が国内外に収蔵・設置され、足立区では、青井兵和通り商店街プチテラスで、大切に管理されている。
 いわき市立美術館の堀越達雄さん(普及係長兼主任学芸員)は、99年に同館で開催した企画展以来、湯川さんの詩情豊かな作品に注目。この9月10日~23日に「湯川隆展」を企画運営した。 イタリア留学前の湯川さんの作品は「生まれ変わる為に必要なこと」というタイトルどおり「自身の再生への願い」が感じ取れた。同展での作品は、「復活と抽象」をテーマに、今にも飛び立ちそうな「天使の誕生」、テラコッタの首と木彫りの胴体を組み合わせた「そよ風に吹かれて立つ少女」と自身の妻がモデルの「KOMUGI」。 そしてメインの「夢から醒めたとき」は、空から落下したような姿を、四隅の枕木が囲み、静止の中に時間の流れを感じさせる力作。湯川さんは「前回は、作品を通じて何を訴えたいのかを語ることができず、いつも欲求不満。今は、すべてに感謝と満足を感じている」と笑顔で語る。湯川さんが一歩アトリエに入ると、妻の香麦(こむぎ)さんと娘の美七(ビーナ)ちゃんは、湯川さんを「先生」と呼ぶ。一家団らんの食卓は、豊かな会話と本場の食材で満たされる。「子どもをぜひ展覧会に連れて行って。興味を持った子どもは、まずは作品を真似てほしい。小さな芸術を大切に」と、湯川さんからメッセージ。
 同展開催中に、「彫塑入門・頭像教室」も開かれ、老若男女9人の生徒が参加。ハラハラの湯川講師の心配をよそに、最終日にはパートナーやチェ・ジウなどの見事な頭像が完成した。湯川さんの作品展は、今日5日~15日、ギャラリーアイ( いわき市小名浜字小湊91)でも開催される(ギャラリーいわき共同企画)
         

   妻がモデルの      チェ・ジウの頭像はどれ?
   『KOMUGI』と