

昨年好評を博したシアター1010のクリスマス公演・区民参加ミュージカル「しあわせなモミの木」が、今年も上演される。小学4年から60代まで約90人が参加。本番を間近に控え、朝から夜まで長時間の稽古で追い込みに入っている。

パワフルな人柄で周囲を引っ張る田上氏(中央)
昨年の初演では「素人が演じる」という先入観を見事に覆し、クライマックスで客席のあちこちからすすり泣きが聞こえる感動の舞台を見せた。子どもたちの真っ直ぐな感情表現、大人たちが演じる個性的な街の住人。足立区民が息を吹き込んだ街の姿は、観客の日常と重なってリアルに迫ってくる。
演出・キャスト
脚本は昨年とほぼ同じだが、キャストが変わったことによって演出も細かく変わり、かなり違った印象を受ける。今年初参加の人もいれば、昨年群集役で今年は主要な役についた人、昨年とは全くタイプの違う役で登場する人など様々。一部ダブルキャストになっているのも、見どころの一つ。2パターン観ても楽しめる。出演者の中学3年の女の子は「去年いた子と新しい子が仲良くなって、新しい輪ができている。ダブルキャストの相手からは刺激を受けるし、逆に去年を知っているからアドバイスも出来る」と話す。
他にもダンスの振付が新たな指導者を迎えて一新され、テンポの速いステップに出演者たちは「難しい!」と悲鳴を上げながら、稽古の楽しさと苦労を味わってきた。
キーマン・クロケット役は田上ひろし氏
物語のキーとなるクロケット老人を演じるのは浜畑賢吉氏に替わって、劇団スーパー・エキセントリック・シアターの田上ひろし氏。「クロケットは文明の中で忘れられた第六感のようなものを持っている人」と、飄々と味のある役作りで舞台を引き締める。稽古は11月中旬から参加。顔合わせ以来3カ月ぶりの再会に「みんな役者顔になっていて、僕が煽られている感じ」と、区民出演者たちの成長に焦った(?)様子。特に子どもたちは「思ったままにぶつかってくるので、おお、こう来たか」と意表を突かれることもあるとか。細かな演技のアドバイスや共演者とアイデアを出し合うなど、パワフルな人柄で周囲を引っ張っている。
演出の原田一樹氏(劇団キンダースペース主宰)は「グレードアップしていますから、ぜひ観に来て欲しい。お芝居を観る、と気張るのでなく、クリスマス定例のイベントとして気軽にどうぞ」と自信たっぷりにアピール。
区民が作り上げた心あたたまるクリスマスを、肌で感じられる舞台になりそうだ。
上演日程
日時 12月23日(祝)午後3時、24日(土)午後2時、25日(日)午後2時。(いずれも開演時間)
料金 3,000円 シアター1010チケットセンター℡5244・1011