
足立区に接している隅田川に、2月19日(日)午前10時に新たな橋が開通する。千住曙町と荒川区南千住八丁目を結ぶ「千住汐入大橋」で、足立区側は高層マンションの棟の間、荒川区側は南千住の再開発地区にあたる。東京都市計画道路補助109号線で、全長165m、幅20m。周辺の景観を考慮したやわらかい色のベージュに塗られている。昭和61年に橋台を設置、その後南千住地区の再開発の進行状況に合わせて一旦作業が中断されていたが、平成14年に再開し、このほど完成した。

2月の開通が待たれる(平成17年12月26日撮影)
演出・キャスト
「汐入」は現在の橋のあたりに、かつて「汐入の渡し」があったことに由来する。江戸時代、川は徒歩か渡し船で行き来していたため、隅田川には20カ所近い渡し舟があった。明治以降、橋の架設によって徐々に廃止されていく中、汐入の渡しは昭和41年まで運行されていた。「千住」は北千住と南千住の両方から。
工法
橋げたの架設は昨年3月、クローラクレーンベント工法と台船引き出し工法の組み合わせで行われた。荒川区側の航路を閉鎖してベント杭を川の中に設置。その上に組み立てた鋼桁(橋げた)を、満潮時の潮止まりを利用して台船で足立区側に引き出すもので、この「台船引き出し工法」が使われるのは珍しいという。
利用してみよう
堀切橋から南千住方面への交通がスムーズになることに加え、災害時の避難路としての利用が期待できる。
荒川区側の再開発地域は48・8ヘクタールが防災拠点として整備されており、街全体が不燃化の建物で作られている。さらにその中に出し用の耐火レンガ、仮設トイレ、自家発電装置、給水装置などが設置されている。万が一の場合は、足立区側から橋を渡って避難することが可能だ。同公園は現在半分のみ開園、4月1日(土)には全て開園する予定。花と緑の季節に、お隣の区の新しい憩いの場所を訪ねてみるのもいいかもしれない。

工事が進む千住汐入大橋・平成17年6月7日
(撮影=太田畯三さん)