足立朝日

旧い建物を活用して、新たな街の魅力へ 若者たちが動き出した 〈千住いえまちプロジェクト〉始動

掲載:2013年4月5日号
 昨年4月、北千住駅東口に東京電機大学のキャンパスが開設し、5つの大学が揃った千住。街は日々新しい顔へと変貌し続ける一方で、江戸時代から宿場町として栄えた面影の残る町並みは消えつつある。
 「千住らしさ」を守りつつ、新たな魅力を掘り起こしていきたい、と地元の若者らが中心となり、「千住いえまちプロジェクト」を立ち上げた。


 メンバーは千住で育った30代を中心に、20代~40代の約20人で、学生、主婦、社会人と幅広い。多岐にわたる職業の中で、一級建築士など建築の専門家の多さが特徴的だ。
 発足のきっかけは、千住に惚れ込み築200年の蔵をアトリエにしているイラストレーターのなかだえりさんと、長年「まち雑誌千住」を主宰してきた大野順子さん。
 街並みの変化に危機感を感じていた2人は、千住在住の日本工業大学建築学科准教授・佐々木誠さんに相談。
建て替え中だった宿場町通り槍かけだんごの「かどや」(千住五丁目)の設計者・宮島亨さん(千住在住)も加わり、賛同者が集まった昨年秋、プロジェクトを発足した。
 その後、メンバーはミーティングを重ねて、活動内容を熟考。3月に、公益信託あだちまちづくりトラスト助成を受けることが決まった。
 今後、千住の他の団体との交流も進めていきたいという。

◆古い建物の活用で新たな魅力を
 古い建物をただそのまま残すのは難しいが、古さを上手く生かしてリノベーション(修復)することで、味わいが生まれる。
 活用という「動き」によって「新たな魅力」を掘り起こそうというのが、「千住いえまち」の特徴。耐震問題など、建築のプロの視点で適切なアドバイスをしながら進められるのが強みだ。
 古い建物を使ったイベントやまちあるきも企画。昨年10月、寺で開いたヨガ教室は好評で、4月に第2弾も計画中という。
 歴史的な建物を、建築専門のメンバーが調査し、資料に残す活動もしていく。

◆マップ・サイトで魅力を発信
 古い建物やイベントなどを紹介し、活動を発信していく「千住いえまちMAP」の第1号が、このほど完成した。
 今回は桜特集で、春らしいイラストや写真が満載。花見には間に合わなかったが、旧道を中心としたレトロで魅力的なカフェなどの紹介、千住と桜についての地域の人の昔話も掲載されている。
 4月7日頃から、宿場町通りの「街の駅」などで配布。春風を感じながら、千住の街の魅力を探しに出かけてみよう。HP