足立朝日

「第49回足立区夏花品評展示会」で 都知事賞に輝いた 横井 浅雄さん(77) 扇3丁目在住

掲載:2013年7月5日号
花や緑の拠点を守りたい

 「横井さんの輪菊は、葉が病害虫にやられることもなくて力強く、茎も太いし、花の色艶も良い。厳しい天候の中での花栽培の技術力はピカ一だ」――。6月中旬、審査会場の足立区役所に、審査委員長の金子章敬中央農業改良普及センター主任普及指導員の講評の声が響いた。
 扇3丁目の花農家・横井浅雄さん宅では、夏菊の出荷がピークを迎えている。5月の連休明けから、ツボミ1つに仕立てた輪菊、幾つものツボミをつけた小菊の2種類を、畑から採取しては、下葉をとって整え、束にして出荷。奥さんの富美子さん、長男の善彦さん(50)と農業ボランティアの人も手伝いに入ってくれている。
 「今年の夏菊は成長が悪くて苦労しています。こんなのは初めてですよ」と横井さん。冬場の寒さがことのほか厳しく、5月には平年の3%という少雨に悩まされた。
 夏菊は、9月に10ほどにな
った苗を苗床に植え、10月に根が出たら定植、越冬して育てる。その間、手入れやアブラムシなどの病害虫退治に力を注ぐ。
 江戸時代から続く花農家だ。自宅近くの40aの畑と興本小学校前にある30aの畑の2カ所で、菊を中心に主に活花で使われる花木と呼ばれるスモークツリー、ナナカマド、ハスなどを生産している。 
 「花作りはすべて大変。都市化した中での作業は、消毒ひとつにしても気を使うし、苦労が多い」と横井さん。横井さんは現在、JA足立の花き部会長だ。3期目に入ったが、その温厚な人柄と高い栽培技術力で、区内花農家のまとめ役として奮闘中。
 区内の花農家は現在27軒。「大分減ったけど、最近また花や緑が見直されて来ている。その拠点をしっかり守りたい」と横井さんは決意を語ってくれた。

写真上/菊畑に立つ横井さん
下/「第49回足立区夏花品評展示会」で都知事賞に輝いた輪菊