


快晴の中、祝いのくす玉が割られた
両区の架け橋
午前9時半の打ち上げ花火を合図に、足立区千住曙町側で「柳原箕輪囃子連」のお囃子がスタート。祝賀ムードが高まる中、両区の来賓、招待客らが続々と集まった。足立区からは鈴木恒年区長を始め区議会議員、都議会議員、地元町会自治会代表が出席。足立区寄りの橋上に設けられた特設テントで式典が始まった。
主催者代表の東京都建設局の岩永勉局長が、概略を説明。都第五建設事務所・水川智雄所長が、全国でも珍しい台船引き出し工法の作業時に500人もの見物客が集まったことなど、工事報告で語った。祝辞で鈴木恒年・足立区長は「昔、足立区側は関屋の里として観光の名勝だった。水と緑豊かな空間。防災拠点もぜひ橋を渡って利用したい。足立区のシアター1010、4月オープンの黒澤明シネマシティ、産業プラザにも来て欲しい」と述べた。

記念セレモニー
両区区長と関係者の5人によるテープカットが行われ、くす玉開きには両区の代表20人が参加。都議会議員、新井ひでお足立区議会議長、有吉正典千住警察署長、大久保憲一千住消防署長、また足立区地元代表として千住旭町町会・常東地区町会・自治会連合会の岩城武会長が、司会者の掛け声に合わせて、晴れ舞台の演出に一役買った。
渡り初め
先導したのは警視庁騎馬隊2騎と足立区立第十一中吹奏楽部約60人。川面に高らかに響くマーチで、式典出席者がゆったりと行進。初の大役を務めた第十一中吹奏楽部の部長・大神田瑞(みずき)くんは「こういう式に呼んでもらえて凄くうれしい。日頃の活動の成果を見てもらえた」と緊張した様子。副部長の 田笙子さんは「川が流れていて、視界が新鮮。空気が違うのが楽しい」、同じく副部長の江川希(のぞみ)さんは「騎馬隊にびっくり。楽しかった」と笑顔で語った。
待ちかねていた一般区民らにも、通行が開放された。渡り初めを体験した地元曙町の青木照美さんは「曙町にはお店がなくて不便。今度は自転車で南千住側へ探検しに行きたい」、母の康江さんは「向こう岸の川辺の階段が気持ちいい」と、揃って活動エリアの拡がりを歓迎していた。歩行者天国が楽しめるのはこの日だけ。多くの人たちが、初めての景色と川風を楽しんだ。

高らかに響くマーチを演奏する第十一中吹奏楽部
橋の揮毫(きごう)
揮毫とは筆で字を書くことだが、橋の完成に欠かせないものの一つ。どの橋にも、筆書きの橋名が名板に刻まれている。千住汐入大橋の揮毫は両区の中学生。足立区側は吉原瑞希さん(千寿桜堤中3年)、髙橋かれんさん(同)、荒川区側は鈴木仁美さん(荒川区立第三中)、西村明穂さん(同)が選ばれ、岩永建設局長から表彰された。


橋の概略
橋長158・6m、車道幅11m、歩道幅は両側各4・5m、全幅20m。事業費約22億円。平成14年着工、昨年4月に船舶航行に影響の少ない台船引き出し工法によって橋が架けられた。周囲の景観との調和を考慮して淡いベージュで統一され、遊歩道としても親しめる。橋名は両区の地名「千住」と、江戸時代~昭和42年まであった「汐入の渡し」に由来する。