足立朝日

11月に「酉の市」が行われる 大鷲神社 濱中厚生宮司(69) 花畑7丁目在住

掲載:2013年11月5日号
未来に残すのが自分の仕事

 酉の市発祥の社として知られる「大鷲神社」。今年も11月3日(日)、15日(金)、27日(水)午前10時頃~翌午前0時頃の酉の日3日間行われる。同社を濱中家が継ぐことになってからの4代目、濱中厚生宮司は「600年の歴史ある酉の市、ぜひお越しください」と話す。
 一昨年、濱中さんが禰宜として40年支えてきた名誉宮司の父・隼雄氏が89歳で他界。8年前から宮司を務めるようになったが「私は父の背中を見て〝宮司〟というものを学びました。物静かで特に何も言わずに、自分の姿を見て真似るところは真似ればいい、変えた方が良いと思うことは変えていけというタイプだったので、それに従って試行錯誤している毎日です」と昔を思い出しながら話す。さらに「今は息子が手伝ってくれていますが、父がそうだったように、私も息子には同じように接しています。将来は息子の考える神社にしていけばいい」と長男・伸洋権禰宜(32)の未来への思いを語る。
 大鷲神社は約千年の歴史があり「お酉さま」と親しまれてきた。酉の市は、元々日本武尊の命日に報恩感謝の祭りとして同神社から応永年間に始まった。「酉の市もだいぶ変わりました。賑わいは昔のままですが、露店の種類は変わりました。私が小さい頃は戸板を持って来てその上に柿を並べて売っている人がいました。それと芝居やガマの油売りなんかもやっていましたね」
 現在同社は、2011年の東日本大震災で本殿や拝殿など建物に大きなダメージを受けたため、今年奉賛会を結成、大改修を行うことになった。本殿は150年前、拝殿は400年前に建立され、本殿は総欅・四方唐破風造で、江戸末期の作りとされる「昇り龍」と「降り龍」は一本彫で文化財として大変貴重なものだ。建物の耐震改修工事は平成27年10月までに完了予定。
 濱中宮司は「壊れてしまってからでは遅い。何かを残すのは大変ではあるけれど、建物も酉の市も昔からある伝統を未来に残すことが、自分の役割だと思っています」と穏やかな語り口の中に、確固とした決意をにじませていた。
【交通】つくばエクスプレス「六町駅」から東武バス「花畑桑袋団地」行きで「大鷲神社入口」下車すぐ
【問合せ】TEL3883・2908大鷲神社(花畑7‐16‐8)