足立朝日

羅針盤 VOL.35

掲載:2014年2月5日号
 昨年の12月号の本欄で「言葉というものは本当に難しい」と書いたら、反響がたくさんあった。「美辞麗句は誰でも言えるし、引用できる。でも実際にやっていることの検証をしないといけない」とある人が書いてきた。その通りである。
 最近感じるのは、映画やドラマなどの「文化」の評価の難しさだ。例えば、今も大ヒットしている話題作「永遠の0」とか、芦田愛菜ちゃんら子役が大活躍しているものの、スポンサーの広告自粛という異例の事態に陥っている日本テレビドラマ「明日、ママがいない」。片や「特攻隊」を主題にした戦争映画、片や親がいない福祉施設がテーマだ。
 唯一無二の判断を下せる評論家や「神」は存在しないので、絶対的評価はありえず、客観的な評価は難しい。では「相対的評価」はいかに? これはもう長い歴史とその中で生きてきた自分の存在から発する「声」が評価だとしかいいようがない。結局は、その「声」の比重で一般的な「評価」が定まるのだ、と思う。さて……。  (編集長)