塗炭の苦しみを乗り越えて
眼鏡の奥の優しいがキリリとした目が、渡井さんの全てを物語っている。「限りなく優しくて芯から強い人」が、親しい人の渡井評である。
渡井さんは、カット野菜や骨なし魚の切り身、肉などを製造する会社を束ねる丸勤食販企業組合の理事長。事務所は、足立市場(千住橋戸町)内にあり、足立市場協会の理事。また奥さんともども和服をこよなく愛し「着物姿で千住の街を仲良く歩くダンナさんと奥さん」としても有名だ。
その渡井さんが、このほどPHP研究所から出版された「愚直経営で勝つ!」(三村邦久著、1500円)で、「没頭できるテーマを見つけ、そこに一点集中し結果を出した」9人の経営者の一人として登場したのだ。「私なんかとても、と言ったんですが、本のプランナーの方と私が以前からの知り合いで、『渡井さん、あなたの生き様はこの本の内容にピッタリだよ』と説得され、取材を受けたんです」。
17年前に先代の父親の跡を継ぎ、倒産寸前の同組合を立て直し、債務超過を解消するところまで持ってきた渡井さん。組合は今年創立60年。その節目に「我が身の足跡を総括し、感謝の気持で皆にこの本を贈ろう」と思ったのだと言う。
渡井さんの「壮絶な闘いの17年間」には思わず息を呑まずにはいられない。1997年(平成9年)、渡井さんが3代目理事長を引き受けた時、同組合の決算書では売上が2・4億円で3300万円の赤字、借入金が何と1・2億円! 当時36歳の渡井さんは父親と2人で死ぬことも覚悟。
塗炭の苦しみの中で、渡井さんは社外の勉強会で「閾値(=変化の境目)を超えるまでやり尽くすと、世界が変わる」ことを学び、「お客の要望にすべて応える」大方針の下、社内体制や労働環境を愚直に変え、2013年度の売上は、かつての3倍の5・7億円に、2014年度は6億円を超えた。 流通構造の大変化の中で足立市場の環境は厳しい。渡井さんは「何とかして足立市場を元気にしたい。それをすることが、私を育ててくれた市場と地域への恩返しだと思っています」と表情を引き締めた。
眼鏡の奥の優しいがキリリとした目が、渡井さんの全てを物語っている。「限りなく優しくて芯から強い人」が、親しい人の渡井評である。

その渡井さんが、このほどPHP研究所から出版された「愚直経営で勝つ!」(三村邦久著、1500円)で、「没頭できるテーマを見つけ、そこに一点集中し結果を出した」9人の経営者の一人として登場したのだ。「私なんかとても、と言ったんですが、本のプランナーの方と私が以前からの知り合いで、『渡井さん、あなたの生き様はこの本の内容にピッタリだよ』と説得され、取材を受けたんです」。
17年前に先代の父親の跡を継ぎ、倒産寸前の同組合を立て直し、債務超過を解消するところまで持ってきた渡井さん。組合は今年創立60年。その節目に「我が身の足跡を総括し、感謝の気持で皆にこの本を贈ろう」と思ったのだと言う。
渡井さんの「壮絶な闘いの17年間」には思わず息を呑まずにはいられない。1997年(平成9年)、渡井さんが3代目理事長を引き受けた時、同組合の決算書では売上が2・4億円で3300万円の赤字、借入金が何と1・2億円! 当時36歳の渡井さんは父親と2人で死ぬことも覚悟。
塗炭の苦しみの中で、渡井さんは社外の勉強会で「閾値(=変化の境目)を超えるまでやり尽くすと、世界が変わる」ことを学び、「お客の要望にすべて応える」大方針の下、社内体制や労働環境を愚直に変え、2013年度の売上は、かつての3倍の5・7億円に、2014年度は6億円を超えた。 流通構造の大変化の中で足立市場の環境は厳しい。渡井さんは「何とかして足立市場を元気にしたい。それをすることが、私を育ててくれた市場と地域への恩返しだと思っています」と表情を引き締めた。