
「レンタルよさようなら」のキャッチコピーでおなじみの呉服店・きものひらさわ(関原三丁目)店主・平澤建二さんが同店にて3月16日、関原小学校4年生60人にきもの課外授業を行った。
当初は社会科の「伝統工芸について学ぶ」授業の一環で『東京友禅染について』話の予定だったが、子どもたちの好奇心旺盛な眼差しに急きょ予定変更。呉の国から伝来したから『呉服』というきものの由来からはじまり、神武天皇、旧札の聖徳太子、古事記に記載されている藍衣(あいごろも)、万葉集の色使い、平澤家代々伝わるお雛様で十二単衣の説明、源氏物語の色重ねと色の生い立ちなど、子どもたちに馴染み深い例えを交えて色や色重ねを駆使した日本人の、素晴らしい感性を讃えた。
そして色から柄への誕生、さらに京都知恩院門前の友禅染の始祖・宮崎友禅斎に言及し、加賀百万石の前田家お膝元・「加賀友禅」、江戸徳川幕府・お侍の「江戸小紋」に話が至る。平澤さん独特の語り口と巧みな話術に子どもたちはグイグイと引き込まれていき、私語やよそ見をする子どもは約40分間、ひとりもいなかった。
授業後「少し難しかったかな」と振り返る平澤さんだったが、後日子どもたちから送られてきた感想文には、「模様をつけるだけでも大変なことなんだな」、「学校の授業で習ったときはイマイチ、ピンとこなかったけれど、具体的な例を挙げて説明してくれたのでよく分かった」など、楽しかった授業のようすがイラスト付きで描かれていた。「お子さんたちのキラキラした目を見て幼いころの私たちが紙芝居を見つめていた目と同じだと思えてついついうれしくなった」と平澤さんも感慨深げ。
きものだらけの会場にきものをまとった呉服の語り部。子どもたちが「まるで異次元の世界へ来た」ように目を輝かせていたのが印象的な授業だった。

きものだらけの会場に子どもたちも大興奮!