足立朝日

バンドネオン奏者 北村 聡 さん(35) 千住在住

掲載:2014年12月5日号
千住を拠点に世界にはばたく

 北村聡――一見、学者を思わせる物静かな青年のどこに、激しいバンドネオン演奏のパワーが秘められているのだろうか。
 タンゴがアルゼンチンから日本に上陸して100年目の今年、世界のバンドネオン奏者・小松亮太が、12月12日(金)、故郷・千住のシアター1010を皮切りに永年の夢を実現させる。その小松のユニットに加わる北村は、韓国のコー・サンジ、台湾のウー・ヤンランら国境を超えて集結したメンバーと共にダイナミックな演奏を披露する。
 奈良県に生まれ育った北村は、音楽に理解のある両親のもと、幼少時代からピアノ、中高ではブラスバンドでトロンボーン、さらにバンド活動でエレキギターなど数々の楽器を楽しんだ。やがて、関西大学在学中にバンドネオンと巡り合った北村は、縁あって小松の指導を受けるために実家と千住を往復。当初は趣味のつもりでいたが、3年目に「チャンスをあげたくても距離があり過ぎる。上京しないか」と小松から申し出があり、両親、大学の教授、友人、みんなに応援されて上京。千住で小松に師事し、あらゆる場所での演奏経験を積み、鍛えられた。
 その後、アルゼンチンに留学。世界タンゴサミット、モントリオール国際タンゴフェスティバルなどに出場し、大御所たちとの共演もこなして帰国。現在も、千住を拠点にプロとして国内外で演奏活動を行っている。
 千住に住み続ける理由は、「便利で住みやすい。引越しする理由がない」。足立区民にとって、何よりもうれしい言葉である。
 今は、クラシックもロックも世界の垣根はないが、タンゴだけは未だにアルゼンチンと言われる。しかし、世界中にタンゴ・ミュージシャンは存在。小松が語る「夢」とは、「彼らが力を合わせると、これだけの演奏ができることを実証する」こと。その20年来の「夢の始まり」に向けて、北村は小松と共に走り続ける。
【日時】12月12日(金)午後2時・午後6時半【場所】シアター1010【料金】6000円、足立区民割引(在住・在勤)・フレンズ会員割引あり【チケット】TEL5244・1011