足立朝日

羅針盤 VOL.43

掲載:2014年12月5日号
 「新語・流行語大賞」や「今年の漢字」という季節になったが、言葉は実に面白い。語源を調べ、その意味するものを深く理解すると、その喜びは倍加する。
 例えば「一歩前進二歩後退」という言葉。大概の人は、「これだとどんどん後退していってしまう」「二歩前進一歩後退の間違いじゃないの?」などと言う。
 チータこと水前寺清子の歌に「365歩のマーチ」という軽快な曲があって、その中では「三歩進んで二歩下がる」。これなら、差し引き「一歩前進」なので、人は納得し溜飲を下げる。
 さて? 色々調べてみると「一歩前進二歩後退」とは「歩く数のことを言っているのではない」ということ、「ただただやみくもに前へ進んで玉砕するのではなく、一歩下がって状況が好転するのを待つことも大切だよ」と言っているということが分かってきた。
 さてさて年末。お酒が入ると、ついつい「三歩進んで」になるが、こういう時こそ「一歩前進二歩後退」くらいの方がスマートかも。(編集長)