足立朝日

社会福祉法人あいのわ福祉会 理事長 鈴島 妙子 さん(67)

掲載:2015年4月5日号
私は長女に見守られている

 「私がここまでやってこれた原動力は、やはり子どもですね。今でも見守られている感じです」――。こう話す鈴島さんの優しい目が心なしか潤んだ。
 長女・ちはやさんは、重度の障害児として生まれ、38年間精一杯生きてきたが、2年前に亡くなった。「彼女とともに生き、彼女とともに運動してきた年月でした」
 昨年4月、鈴島さんは、16年間理事長を務めてきた岸本美惠子さんに代わって、「あいのわ福祉会」の3代目理事長に就任した。
 約半世紀前に誕生した「足立区肢体不自由児者父母の会」が「あいのわ福祉会」の前身。法人になったのが21年前。「あいのわ」は、今でこそ、先日開所した「舎人あかしあ園」(下記事参照)を含め区内8カ所で利用者(通所者)362人の20事業を経営しているが、これまでの歩みは、「一つひとつ、穴を穿つように積み上げてきた」ことの集大成だ。
 鈴島さんは、岩手県生まれ。上京して大学に入るが中退。50代の時に、福祉専門学校に入り「福祉」を学んだ。長女の誕生とともに「肢体不自由な(&知的障がいを持つ)子どもたちの幸せを求める」道に。南花畑の城北特別支援学校(元城北養護学校)に通い、同校のPTA会長も務めた。「肢体不自由児者父母の会」の活動から「あいのわ」へとつながっていく。岸本前理事長の下、副理事長として2人3脚の歩みが続いた。
 課題は多い。当面の大仕事は「舎人」が出来たことによる通所地域の見直し。「約6割が移動する」と鈴島さん。
 長期的には、毎年の「城北」卒業生約20人の受け入れ態勢をどう作るか。「4、5年毎に施設を増やさないといけません」。さらに、父母の高齢化や死亡で面倒を見られなくなる障がい者のためのグループホームの開設が急がれている。
 「あらためて足元を見て、足元を固めていくのが私の役目」。「本当の優しさ」に裏打ちされた鈴島さんの「本当の強さ」がこれから発揮されることだろう。

写真/通所者に声を掛ける鈴島さん=青井の足立あかしあ園で