足立朝日

ピアニスト 油井 香澄 さん(24) オーストリア在住

掲載:2015年5月5日号
祖母譲りのひたむきさで

 シューベルト「ヴァイオリンソナタ イ長調D.574」から始まった「ピアノとヴァイオリンのデュオ演奏会」(4月6日、天空劇場)。ピアニストは油井香澄さん、ヴァイオリニストは奥芝翔子さん。香澄さんは、足立区女性団体連合会元会長、足立区人権擁護委員、全国人権擁護委員連合会前副会長などの重責を担い、足立区発展のために尽力してきた油井久仁子さんの孫にあたる。
 現在、ウィーン国立音楽大学ピアノ室内楽科で学ぶ香澄さんは、同じく同大学でヴァイオリンを学ぶ友人の奥芝さんが今年卒業することを思い、油井さんに相談。「多くの方々の支えがあり今がある。学んできたことを発表することで、足立区の皆さんにもご恩返しを」と、今回の運びとなった。
 香澄さんは、父親の仕事の関係で幼少時から英国で暮らし、2001年に10歳で同国のパーセル音楽院に入学。2009年に首席で卒業後は、任期を終えた家族と共に帰国せず、独学でドイツ語を学びウィーン国立音楽大学へ進学。学部課程を修了後、現在に至る。2004年、コンツェルテウム国際ピアノコンクール2位。2005年、エバンジェリア・ティジャリ国際ピアノコンクール1位。その他、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団のメンバーで構成するキュッヒル・カルテットと共演するなど着実に実力を高めてきた。一見、女優の黒木華を彷彿させるが、そのひたむきで真っ直ぐな生き方は、祖母譲りであることは間違いない。
 演奏は、ショパン「バラード2番ヘ長調作品38」、團伊玖磨「ヴァイオリンとピアノのためのファンタジア第3番」と続き、シュトラウス「ヴァイオリンソナタ変ホ長調作品18」では、第3楽章の長い独奏をダイナミックに演奏。アンコールでは、約200人の来場者に心を込めて「わがまち足立」「花は咲く」を贈った。
 「幼い頃から慣れ親しんできた足立区の沢山の方々に、演奏を聴いて頂き、本当にうれしい。いつも的確なアドバイスをくれる祖母に心から感謝」と、香澄さんは達成感溢れる笑顔で語った。

写真/油井さんに全幅の信頼を寄せる香澄さん(左)