足立朝日

第2回 うつからの回復

掲載:2006年8月20日号
◆◇第2回 うつからの回復
「心の悩みの回復……カウンセラーに相談を!」

 昨年の春のことでした。上場会社を定年退職した山田さん(仮称)が、相談に見えました。定石どおり、気持ちを楽にして心の悩みの内容をじっくり話してもらいました。要約しますと「3年ほど前からうつが酷く、心療内科にかかっている。昨年3月突然、35年連れ添った妻から離縁状をつきつけられた。どうしたらよいのでしょうか?」ということでした。
  彼の願望を聞きましたら、「これからは、うつを治してゆっくりと家族皆と楽しみたい。それには妻がいなければ駄目なんです。」とはっきりしていました。そのために、2つのポイントを提示しました。
  ①うつの回復、②夫婦の関係の回復です。
  今回は①うつの回復、について説明します。
 クライアントは真面目で几帳面。しかも営業の仕事だったので、いつもストレスの中にとっぷり浸かっていました。そして家に帰ると妻からの切れ目のない口撃が待っていたのです。やがて、イライラが始まり、意欲が低下して睡眠障害が襲ってきました。今は心療内科にかかり、薬物療法を続けています。彼の全体的状況から判断しますと、まず、うつの回復が大切と考えて〈ストレスとリカバリー〉を中心に、カウンセリングを進めることと致しました。
  ストレスとはエネルギーを失うことで、リカバリーは回復することです。肉体的ストレスは睡眠や入浴で対応出来ますが、精神的ストレス回復のため特別のカウンセリングシートを書いてもらうことにしました。
 自分の長所、好きなことや願望を100日間書き続けていくと、特別な才能に気づき、思考習慣が変わって来るのです。1週間にいちど、このシートを中心にカウンセリングを進めていきましたら、約3カ月で見違えるほどエネルギーが湧いてきました。
 「自分は無能力者で、駄目な人間、会社では上司に叱られるし、家に帰ると妻に馬鹿者呼ばわりされる。」から、「もしかすると、俺には他人とは異なった能力があるのかも。」山田さんは自分の特別な才能に気づいたのです。心療内科の先生にも誉められましたし、妻を見る目も変わってきました。
  次回は②夫婦の関係回復です。  
カウンセリングルーム世田谷・宮澤恭人