足立朝日

地域の賑わい創出へ 北千住駅西側で再開発―トポス&都税事務所跡地に30階建てマンションと商業施設

掲載:2016年5月5日号
 4月13日(水)、東京都が千住一丁目地区市街地再開発組合の設立を認可した。これにより、2年ほど前からくすぶっていたスーパー「トポス」の衣替えと高層マンションの建設が動き出す。建設は来年1月から始動、3年後の2019年9月に竣工予定。一部建設反対運動もあったが、今後は工事に伴う交通・安全と風害対策、「路地裏文化との調和を図るまちづくり」が課題となりそうだ。
◆北千住駅周辺で30階建ては初
 再開発の地域は、北千住駅西口から徒歩5分の場所(地図参照)で、敷地面積は約4700㎡。現在、イオン系のスーパー「トポス」、足立都税事務所が使っていた空きビルなどがある。
 再開発組合は、現在権利者(地権者)の一人、島根1-2-3にある「㈱スギモトホールディングス」内に置かれているが、同組合がまとめた計画によると、ここに地上30階、地下1階、延べ床面積2万5700㎡の高層マンション(約180戸)が建つ。1~2階にイオン系のスーパーなどの商業施設が出来、3階以上が住居になる。
 また、地元町会、商店街などの意見を入れて、子育て支援施設(保育園)、町会などが使える多目的室が出来る予定。
 さらに、「千住本町商店街(本町センター)」(大室博理事長、100店加盟)に面した敷地西側には防災広場を設け、災害時の拠点にする。
◆「トポス」は今年10月末まで 
 着工は来年2017年1月、建物竣工は2019年9月の予定。総事業費は143億円。区によると、「トポス」は今年10月末まで営業し、元都税事務所ビルとともに解体作業に入るが、それまでに解体・建設工事に関する住民説明会を実施する。工事車両は、国道4号線から出入する可能性が高いが、道路が狭い上に通行者が多いため、完璧な安全対策が求められる。
 北千住では、この4月上旬にイトーヨーカ堂系の「ザ・プライス千住店」が閉店したばかりで、「これでトポスがなくなったら、私たちはどうすればいいの?」(40代主婦)という悲鳴が上がっている。
◆風害対策と「路地裏文化」との調和が課題
 今回の再開発では、30階建てビルの建設に伴う風害対策も課題となりそうだ。旧区役所跡地に建った22階建ての東京芸術センターの周辺は、歩行や自転車通行も困難なほどの強風が日常的に吹いて、住民を困らせている。最近、同センターに隣接する建築中のビルの足場が強風で崩れるという「事故」があったばかりで、発生する風をどう逃がすか、という技術的な工夫が必要になりそう。
 また、この旧日光街道界隈は下町の雰囲気を残す路地裏が人気で、近年古い木造建築物を利用したカフェや飲食店が続々と誕生、区内はもとより他区からも若者が来訪しているのも事実。「路地裏との調和をどう図るかが地域の人たちの腕の見せ所」(ある街歩きライター)となりそうだ。

写真上/千住一丁目地区市街地再開発事業のイメージパース
中/再開発地域
下/トポス北千住店


◆大室博千住本町商店街理事長(74)の話
 180戸の人が増えるのは、この少子高齢化の時代に良いことなので賛成した。工事を安全にやってほしいのと風害を出さないようにお願いしたい。新しい商業施設が出来るまで3年間、商店街のお店をうんと使ってください。
◆長谷正治千住二丁目町会(680世帯)会長(74)の話
 街はジリ貧だしね、保育施設と町会の寄り合い場所を作ってくれるというので賛成した。後は風の問題だけですね。
◆黒川耕次千住一丁目町会(820世帯)会長(68)の話
 新施設ができることで地域の活性化が図れるし、価値も上がる。道路が狭いから、住民に迷惑がかからないようにしてほしい。風対策もよろしくお願いしたい。