足立朝日

アイヌ文様刺繍作品展盛況

掲載:2006年11月5日号
◆◇アイヌ文様刺繍作品展盛況
体験の集いも大好評

 「アイヌ文様刺繍作品展」が9月28日~29日、足立区役所1階アトリウムで開かれ、行き交う来庁者や職員が熱心に作品に見入っていた。
 制作・指導をした「関東ウタリ会」会長の丸子美記子さんによると、この日の展示作品は17点。アイヌの着物は相手のサイズに合わせ、全て手で作られる。一針ずつの文様には、着る人間を災難や邪悪などから守り、守護を願うための祈りが込められている。木の繊維を採集し、糸にしてから織り上げ、刺繍を施してから完成までに数カ月から1年をかける。当然、1着分の値段は自動車1台分に匹敵する。制作中は、「木の神」への感謝を込めて全ての材料を使い切り、ゴミを残さないことが「作り手の誇り」であるという。丸子さんは、自身が作った「樺太アイヌのイラクサ模様の着物は、もう二度と作れないと思う」と語る。
  30日にはLソフィアで「アイヌ文様刺繍体験と講演」が行われ、丸子さんと八幡智子さんが講師を務めた。講演は「アイヌ民族と文化」をテーマに、丸子さんが行った。これらを主催したアイヌ・ラマット実行委員会共同代表の出原昌志さんは、「アイヌが伝承する美しい文化を、多くの皆さんに知っていただければ幸いです」と微笑んだ。


作品の前で丸子さん(左)と八幡さん
=区役所1階アトリウムにて