足立朝日

読書の秋特集/区内在住の作家たち 直木賞作家・朱川湊人さんは 「主夫の友アワード」受賞

掲載:2016年11月5日号
◆朱川湊人著/「主夫のトモロー」
 花畑在住の直木賞作家・朱川湊人さん(53)が、「主夫の友アワード2016」を受賞した。
 主宰は「秘密結社 主夫の友」。NPO法人ファザーリングジャパン所属の「主夫」54人による任意団体で、主夫の認知度を明るいイメージで広めようと結成されたもの。
 働き方の多様化や女性の社会進出に伴い「主夫業」も選択肢の一つであるはずだが、世間のイメージは「ヒモ」「男のくせに情けない」など偏見が強い。主夫の友では10月10日を語呂合わせで「いい夫の日」とし、主夫の認知拡大と、男性の家事育児参画の促進に貢献した人に感謝を伝えようと昨年から表彰を始めた。
 朱川さんは文化人部門の受賞で、他にはアスリート部門・水谷隼さん(リオ五輪卓球男子日本代表)、行政部門・﨑田恭平さん(宮崎県日南市市長)、女性部門・SHEILAさん(タレント)が受賞。
 表彰式は10月6日(木)に日本財団・大会議室(港区赤坂)で行われ、各部門受賞者に感謝状と記念品が授与された。
 朱川さんの受賞理由は、5月に出版された「主夫のトモロー」。小説家志望のトモローが外でバリバリ働く妻に代わって家庭に入り、家事、育児をこなす主夫として重ねる日々が綴られた半自伝的な作品。子どもの成長、ママ友界での男ならではの悩み、若いヤンキー夫婦との交流など、サラリーマンには経験できない変化に富んだ充実した日常があたたかい。
 朱川さんの育児は20年以上前だが、世間の風当たりや主夫業の紆余曲折など、今でも変わらない部分が多い。「元々、父子家庭で父が自分と兄を育てたので、男が家事をするのは普通と思って育った。自分の子は自分で育てるのは当たり前」と、朱川さん。公園の多さや予防接種など支援も充実していて、足立区は子育てしやすかったそうだ。
「この本で、若い人に結婚したり子育てするのが面白いかもね、と思ってもらえれば」
 ホラー小説で知られる作家の豊かな人間味溢れる素顔が垣間見える一作。(1600円+税/NHK出版)
◆柊サナカ著/「谷中 レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法」
 新田在住の柊サナカ作「谷中レトロカメラ店の謎日和」第2弾。谷中のクラシックカメラ専門店を舞台に、3代目店主の今宮とアルバイトの来夏が、訪れる客たちの謎と絡まった心を解いていく、連作ミステリー。
 カメラを売ろうと何度も訪れる少女、スパイカメラを買いに来た女、男の家から忽然と消えた愛機はどこに? 今宮の鮮やかな観察眼と趣向の凝らされたクラシックカメラの数々が、レトロな店内を静かに流れる時間の中で、なんとも言えず味わい深い。お節介であたたかい商店街の人々を背景に、そっと描かれる不器用な2人の恋模様も、やさしい気持ちを呼び起こしてくれる。(600円+税/宝島社文庫)
◆高林孝光監修/「五十肩・四十肩らくらくサポーター」
 その高い治療技術をもって、プロスポーツ選手やプロダンサーはじめ、春高バレー出場校の選手などから絶大な信頼を得ている高林院長。
 多くの著書を持つが、今回は五十肩・四十肩の不快な痛みをやわらげ、気持ちよく患部を動かすための「サポーター」付きの本を監修した。
 装着の仕方のみならず、同サポーターの効用や仕組み、五十肩・四十肩の解明など、「なるほど!」と思える内容が満載だ。例えば、改善のカギは「肩関節の筋力と柔軟性」。「肩が痛いから動かさない」のは逆効果で、しっかりと肩関節を動かし続け、鍛えて筋力と柔軟性を高めることが大事。そのために同サポーターの助けを借りて、肩を安全に保護しながら動かすことで痛みは改善する。
 さらに、五十肩・四十肩を予防・改善するための「肩甲筋5つの体操」がわかりやすく解説され、肩の痛みを抱える人々のバイブルとなる。
 問合せ・相談は、アスリートゴリラ鍼灸接骨院(島根2-30-21、TEL5856・5063)まで。(主婦と生活社刊/2000円+税)

写真上/受賞記念品のエプロンをつけた朱川さん(左)。右は主夫の友CEOの堀込タイゾーさん=主夫の友アワード授賞式で