足立朝日

千住囃子を後世に! 老若男女が大張り切り

掲載:2017年12月5日号
 千住河原町の稲荷神社を拠点に、伝統文化であるまつり囃子を通じて地域のお祭りやイベントに参加、地域おこしをしているグループがある。現在猛練習中で、地元の神社の初詣や正月のお祝いの席で獅子舞やお囃子を披露しようと大張り切りだ。

◆毎週金曜日の河原町稲荷神社は熱気でムンムン
 この会は「江戸ばやし仲町巴会(北島幸二会長)、「いなほ千住囃子保存会」(小峰幸夫会長)、「長八会」(小林一樹会長)の3団体。この3団体で「千住囃子連」という連合組織を作っている。師匠が千住大川町生まれで現在墨田区押上に住む石川亨七さん(69)だ。
 河原町稲荷神社の神楽殿での練習は、毎週金曜日の夜の7時から。ここには、石川師匠、北島さん(69)、小林さんらを先生に20人を超える人たちが参集。小・中・高・大学生にサラリーマン、OL、主婦らで、若い女性が中心。
 9時まではお囃子、それ以降は獅子舞の練習。お囃子の練習では、大太鼓1、小太鼓2、笛、四助(鉦)の5人囃子で、タイヤを囲んで叩いて練習しながら、順番に太鼓、笛、四助を演奏。この指導には、「巴会」副会長のサラリーマン・竹内貴比功さん(31)が参加。竹内さんは、「祭りで、父がかつぐ神輿がかっこいいなあと思い、お囃子にも興味を持ちました」と語る。そして、小3の時、千住中居町であった巴会のお囃子の練習会に参加し、それ以来続けている。
 ミリオン通り商店街のお茶屋「松田園」の松田とよ店主の孫・祟さん(28)は教員だが、「お祭りが好きだし、お囃子はあまり体験出来ないことなので参加している。楽しいです」と語る。
 午後9時からは獅子舞の練習。これは主に北島さんが指導。千住緑町在住の主婦・佐々木こずえさんが獅子になって、床に寝て両足を挙げたり、下げたりする猛練習に汗びっしょり。
 12月2日(土)、千住河原町にある第一中学校(武田真男校長)では、創立70周年の式典・祝賀会が行われた。
 祝賀会の余興で、卒業生の10人が獅子舞とお囃子を披露し、万雷の拍手を浴びた。獅子になったのは、卒業生で現在専門学校生の手塚夕貴さんで、同じく卒業生で高校生の妹・三貴さんは鉦を叩いた。
 元旦、河原町稲荷と仲町氷川神社では、午前零時を期して神楽殿で各会によるお囃子と獅子舞が行われ、その後並んでいる参拝客を獅子が噛むという神事が行われる。獅子に噛まれると子どもは頭が良くなり、お年寄りは長生きする、という言い伝えがあるそうだ。
 石川さんと北島さんは「この歴史と伝統を子どもたちに伝え、守り続けたい。そして、その子どもたちが着実に育っています」と話し、子どもたちへの指導に飛び回っている。

写真上/仲町氷川神社で元旦に行われる獅子舞とお囃子。左は北島さん
下/お囃子の練習風景=河原町稲荷神社神楽殿で