足立朝日

北澤商事株式会社 代表取締役社長 北澤 艶子さん

掲載:2006年3月5日号
北澤商事株式会社 代表取締役社長
北澤 艶子さん
六月二丁目在住

 区内のあちらこちらで目にする「北澤商事」の看板。不動産仲介業として50年間、信頼と実績を重ねてきた会社である。それを一代で築き上げたのが北澤艶子社長。生粋の足立っ子だ。
 机ひとつ電話1本で北澤社長がこの仕事を始めた昭和30年代、現在の西新井駅近辺は畑が広がる農作地帯。地元で生まれ育った北澤社長を可愛がってくれた農家のおじさんたちが、「艶ちゃんが仲介するならば」と畑の中にアパートを建て始めた。その信頼と期待に応えるために、いわゆる不動産の仲人というべき地味な仕事を、女性の視点で1件1件丁寧に大切にこなしてきた。バブル全盛時代、多くの不動産業者がアパート仲介に目もくれない中、北澤社長は「どんなに細かな仕事でも延々と続けること」を「商道」と考え、この仕事に没頭。その堅実さが、バブル崩壊後も業績を伸ばす力となった。昨年、大師前に北澤ビルを建設。本店をそこへ移し、環七支店、竹ノ塚支店の3店でさらにパワーアップ。お正月の三が日以外は休業なしの営業を展開している。

天性の仕事に感謝
 この50年、苦労がないはずはないが、「苦労と思えばそれは苦労になってしまう。私は天性の仕事に巡りあえて『幸せ』だと感謝している。100歳まで現役で、この大好きな仕事を続けたい」と、北澤社長。現在、約千社で組織する財団法人・日本賃貸住宅管理協会(日管協)の理事の他、足立ロータリークラブ初の女性会員としても活躍中。そのしなやかでひたむきな生き方が、老若男女を問わず魅了する。
 北澤社長の心の中には、88歳で亡くなった母への感謝が常に息づく。「親を考える会」代表の近藤昌平氏からの依頼で、その思いを書き綴り、昨年12月にかんき出版より刊行された。日野原重明・聖路加国際病院理事長、田原総一郎氏らとの共著で、印税は「愛のサンタ基金」に寄贈。子どもたちに夢を与えるために生かされている。