足立朝日

正伝百錬会師範 大沼 昭さん

掲載:2006年4月5日号
正伝百錬会師範
大沼 昭さん
梅田三丁目在住

 昼休みの区庁舎。受付横のエスカレーターの裏には、ただならぬ雰囲気が立ち込める。ひと気のない暗がりで、黙々と武道の鍛錬に励む3人がいる。区土木部区画整理課補償係・主任主事の大沼昭さん、都市整備部建築審査課の山本眞幹さん、同・永田圭さんだ。
 そもそも3人は、「正伝勤労者空手道会」の川元規久・宗師範が指導する区役所の空手部に所属するところからスタート。7段の山本さんの杖術・棒術は、古武士さながらのカッコ良さ。3級の永田さんは、この道1年余だが、披露する型は切れ味が良く鮮やか。そして、大沼さんは8段を授けられて、自ら「正伝百錬会」を興した。現在、正伝まろばし空手道、正伝まろばしの心法学、ころもどり武術、短棒武術、武秘流長捲術、棒術、杖術を指導する師範。

目指すは生活に活きる空手
 恩師の流れを継承するこの流派は、「生活に空手をどう活かせるか」をテーマに、礼儀・作法を始め武道の技の他、生きていくための「心の強さ」を体得する精神修行に重きを置いたもの。「まろばし」とは「転」と書き、「心の自由な働き」のことをいう。「ころもどり」とは、衣服やタオルなどを利用した、いざという時の技。その他、杖や傘など身の回りのものが自分を守るための武器となる。
 現在、大沼さんは、梅田児童館(毎週火曜午後6時半~)、伊興センター(毎週土曜午後1時~)、千住スポーツ公園(毎週日曜午後6時半~)で、小学校から大人まで40人の指導を続けているが、この活動は18年にわたるボランティア。会員の中には62歳の女性もいるという。大沼さんは、これからも自分自身の修行を重ねながら、道場を地域貢献の場につなげたいと抱負を語る。問合せ℡3880・2709、夜10時以降。