足立朝日

躍進する境川部屋

掲載:2007年2月20日号


 境川部屋(舎人四丁目)の力士たちが、躍進目覚しい。現在17人が在籍。幕内の岩木山を筆頭に、寶智山、豪栄道、豊響の十両3人が研鑽し合い、稽古を活気づかせている。そんな中、新十両の豊響が、1月場所で優勝を果たした。


十両優勝報告会にて鈴木区長と豊響(左)

十 両 優 勝・豊 響

 豊響は、昨年末に十両昇進したばかり。5敗で迎えた千秋楽で、十両上位の栃煌山、霜鳥との優勝決定戦を制して優勝した。平成17年一月場所の初土俵からわずか2年の、大きな一歩となった。
  2月1日、区長応接室で開かれた十両優勝報告会に、豊響関は親方、平柳茂雄後援会長、田口文治副会長、渋谷久二郎副会長とともに訪れた。
 境川親方(元両国)は「まさか優勝するとは思っていなかった」と喜びと共に経過を報告した。豊響の得意技は突きと押し。「馬力は一番ある。勝っても負けても、自分の相撲を取りきろうとするのがいいのでは」と親方。それこそが親方の教えでもある。
  巴戦というプレッシャーにも、豊響本人は「後半、勝ち越してから気持ちが楽だった」と、心臓の強さを伺わせた。稽古での気合は相当なもので、豪栄道、寶智山に勝てず声を上げて泣いたこともあったという。「緊張したら、ガムを噛んでほぐす」という豊響。「幕内めざして頑張ります」と力強く今年の目標を語った。
【豊響隆太】(とよひびきりゅうた)山口県下関市出身。22歳。184㎝、172㎏。「豊」は出身地豊浦町と母・豊美さんの名、「響」は出身校の響高校が由来。

信念を貫く岩木山
 若手の牽引役として存在が大きいのが、前頭の岩木山。九州場所から抱
えている首の故障に苦しみながらも7勝7敗と粘り、千秋楽で潮丸に敗れて勝ち越しを逃した。
 岩木山といえば、額から血を流して取り組んでいる姿が浮かぶ。思いがけず傷が深く縫ったこともあるが、「相手の髪でできるすり傷だから、痛くない」と言う。額を切るのは、豪快に頭からぶつかっていく岩木山の立ち合いゆえだ。それだけに首の怪我はつらい。
  「頭から行くおれの相撲をみんな楽しみにしてくれているので、立ち合いを変えたくない。変えたらどんなに楽かと思うけど」。親方をも唸らせる「自分の相撲」への信念が、後輩たちの良き手本となっている。
【岩木山】(いわきやま)青森県弘前市出身。30歳。184㎝、178㎏。最高位は小結。十両優勝、敢闘賞、技能賞、金星。
【境川部屋の十両】
●寶智山(ほうちやま)
  青森県弘前市出身。25歳。189㎝、143㎏。
●豪栄道(ごうえいどう)
  大阪府寝屋川市出身。20歳183㎝、133㎏。昨年11月十両昇進。