足立朝日

35年の歴史に幕 千住児童館・老人館

掲載:2007年3月5日号


 千住児童館・老人館(千住元町・丸山澄子館長)が、建物の老朽化により、3月末で35年の歴史に幕を下ろす。昨年春には鹿浜の西部児童館・老人館がすでに閉館、子どもとお年寄り双方の事業拠点となる直営の施設が足立区から姿を消す。


●千寿カルタ 10 年以上前に作った千寿カルタは、今も3世代交流のあそびまつりに欠かせない。老人クラブのお年寄りや子どもたち、職員などが千住の今昔の風景を描いたB4サイズの巨大なもので、裏には由来など説明文がつけられている。題材は元宿神社や銭湯、今はないお化け煙突など様々。走るガイコツの絵がユニークな「骨折、さあ大変だ名倉医院」なんてものも。同じ五十音で始まるものが何枚もあるため、お手つきが多発するのも醍醐味の一つ。

3世代交流の活動
 児童館・老人館を併せ持つ特徴を最大に生かした活動が、地域の人やPTA関係者を主体とした「千住子どもを育む地域連絡会」。同館を事務局に、子どもの見守り事業として3世代が交流する数多くの企画を実施。昨年11月に他界した松本捷三会長(享年68)の「遊びの大切さ、古くから地域に伝 3世代で盛り上がる   わる良さの大切さを子どもたちに伝えたい」との強い想いと、 カルタとり         それに共感した人々の熱意が18年間活動を支えてきた。
 老人館の利用者は、子どもたちにとってはひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんの世代。「子どもたちは職員の言うことは聞かなくても、お年寄りには素直。お年寄りが全部受け止めてくれるから、安心して自分を出せるみたい」と職員の吉田さん。丸山館長は「障害を持った子など色々な出会いで、驚くほど子どもたちが変わっていくのがわかった」と話す。
  お年よりも子どもたちからパワーをもらい、より生き生きと笑顔を輝かせている。

4月からの受け皿
 4月から新たに完成した住区センター(柳町12-5)が利用者の受け皿となる。これまで前例のない地域連絡会のメンバー参入で、20人以上の大規模な児童部が立ち上げられる。ボランティア運営で活動の幅は限られるが、できるだけ連絡会の想いを引き継ぎたいという。
あそびまつり名物の
大きな紙相撲で熱戦

 常勤の職員による手厚いサポートや新しい事業の開発など、直営館が担ってきた役割は大きい。核家族が当たり前となり、異世代との交流が希薄な現代。お互いが自然に触れ合える場の消滅を惜しむ声は多い。
●地域安全マップ 平成17年度、区内先駆けの「ちいき安全まっぷ」を犯罪社会学の小宮信夫助教授を招いて作成。世代別、世代交流、障害者など10回に亘って活動したこの取り組みは、冊子とリーフレットにまとめられた。文科省生涯学習政策局のHPに、活動が紹介されている。