足立朝日

羅針盤 VOL.84

掲載:2018年9月5日号
「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」(藤原敏行、古今和歌集)――。
 9月になった。8月は、猛暑、烈暑、酷暑、熱暑、炎暑。これだけ気象が荒くなると、冒頭の短歌のような風情は果たしてあるのだろうか?
 イベントの多い7、8月は、読者も全国各地に出掛けたことだろう。小生も仕事の「すき間」を見つけ、好きな「旅」を楽しんだ。青森の「ねぶた祭」、そして「関東88カ所霊場めぐり」で茨城・鹿嶋へ。
 電車の車窓から景色を眺めるのが大好きだ。そこで特に感じたことを一つ。新青森までは、大宮→宇都宮→福島→仙台→盛岡→新青森と東北新幹線で約3時間。途中山が見え、川を渡り、田畑が広がりと車窓は流れるが、一体あの山は磐梯山なのか那須連山なのかはたまた〇〇山なのか? と気になって仕方がない。
 でも、観光バスのようにガイドさんがいるわけでなし。そこでだ。聞く聞かないは別として、飛行機のように、イスに差し込みのイヤホーンガイドを付けてほしい。「右に見えますのは磐梯山でございまーす」。もちろん、録音でいい。
 「空」と激烈な競争をするJRだけに、それくらいのサービスをしてもバチは当たるまい。(編集長)