足立朝日

青空カフェ、手芸クラブで コミュニティーづくり 古千谷本町の全學寺

掲載:2018年12月5日号
 「陽気なボウズが地域を回す」――こんなタイトルのフリーペーパーを発行する一方、お寺の駐車場の一角に本格コーヒーが無料で飲めるカフェを設置、さらに月1回の無料の手芸教室まで開いて地域のコミュニティーづくりに乗り出したお寺が現れた。
 都立舎人公園の北側・古千谷本町2丁目にある全學寺(大島俊孝住職)だ。この「プロジェクト」を進めるのは大島俊映副住職(35)で、強力な助っ人が妻の睦美さん(28)。昨春、新しもの好き・イベント好きな俊映さんが「お寺の繁栄は、地域あってこそ。地域のコミュニティーづくりの核になろう」と決意、家族全員の賛成を得て「みんなの全學寺プロジェクト」なるものが動き出した。まず、俊映さんが編集するA4カラー裏表のフリーペーパー「陽気なボウズが地域を回す」を月1回発行。これには、睦美さんがイラストや写真
撮影で、いとこがデザイナーとしてワンちゃんの連載マンガ付きで参加、俊映さんが好きなサッカーを中心にしたエッセイ、地域のミニニュースを載せる「みんなの掲示板」も。メイン記事は、プロジェクトのことや俊映さんが会った人たちのことなどが写真付きで。
 今年4月から毎週土・日(午前9時~午後4時※荒天時中止)の青空カフェがスタート。以前カフェで働いたことがあり、コーヒー専門店でセミナーを受けた睦美さんが、豆を挽いてから一杯一杯いれてくれる本格コーヒーで、何と無料。お墓参りに来た人はもちろん、舎人公園まで散歩に来た人、近所の方などが次々に訪れるようになった。
 そして、5月から隔月のペースで手芸教室が始まった。お寺の休憩所「なむなむ堂」を会場に、手芸大好きのスタッフ・栗田京子さん(71)が講師。クラフトペーパーのかご、リース、ちぎり絵、キリムのコースター、11月はハーバリウム(びんに液を入れ、造花を浮かせる工作)を作り、15人が参加した。これも無料で、材料は100円ショップで売っているような物を栗田さんが上手に調達。
 「誰とでも友達になれる」タイプの俊映さんは、近所の手織り刺繍の会社の若専務、異業種交流会で出会った足つぼ健康法を学ぶ看護師、区内で子ども食堂を運営する女性活動家らを次々と「プロジェクト」に招き入れて、「次の一手」を考えている。
【メモ】全學寺は、古千谷本町2-22-20、TEL3897・9758。竹の塚駅西口から「入谷循環」などで古千谷本町一丁目下車3分。

写真上/フリーペーパー「陽気なボウズが地域を回す」
中/青空カフェでコーヒーを飲む大島俊映副住職(右)と仲間たち。左から2番目が、お子さんを抱く睦美さん
下/ハーバリウムづくりで集まった皆さん。前列左から3番目が栗田さん=全學寺「なむなむ堂」で