足立朝日

「すべての道を歩き尽くす」 「巨大迷路」千住突破目指す柳原在住の鶴巻さん

掲載:2019年6月5日号
 隅田川と荒川に挟まれた千住地域は、地図で見るとまるで「島」。その島の路地を巨大迷路に見立て、1年半かけてそのすべてを歩き尽くした人がいる。
《センジュラブ》
 この人は、柳原1丁目に住む鶴巻トシハルさん(51)。本業は、建設会社の設計士だ。
 鶴巻さんは、新潟に生まれ、大学院まで新潟という生粋の新潟っ子。その鶴巻さんが、千住緑町生まれの奥さんと結婚したのが縁で千住に興味を持ち、調べていくと、「週末に何かしらのイベントがあって、色々な人が色々なことをやっている街」ということが分かった。当時遊び盛りの子どもが3人いたため「連れて歩き回るには最高!」と感動。
 千住に関わっている人と何人も会ったが、そのたびに「千住大好き」になっていったため、15年前に柳原に家を建てた。
《北千住「島」プロジェクトの立ち上げ》
 鶴巻さんは、隅田川と荒川に挟まれた広さ約15平方キロメートルの千住地域を「島」、路地を巨大迷路に見立て、5年前にすべての道を歩きつくすことを決めた。この行動を「北千住『島』プロジェクト」と名付け、SNS上で立ち上げた。そしてこの5年間、千住地域の情報収集と参加者を募ってのまち歩きやワークショップを実施。
 まち歩きは、千住地区を35のエリアに分け、一筆書きで行ける最長(遠端)距離をマップ上に書き込んだ。2014年4月、柳原をスタート。仕事があるため、週末のみの歩きで、何と約1年半かけてゴールへ。その間、話題のお店や老舗店の訪問、名所・旧跡、路地の映画祭や街のイベントなどにも合流。店主や経営者、イベント主催者、街の人たちの生の声を拾って歩いた。
《企画展の開催》
 SNSやまち歩きなどで知り合った人との対話を通じて、千住のまちに対する共感を得て、さらに千住の魅力を共有したいという気持ちから、鶴巻さんは企画展を開催。3月31日(日)から4月14日(日)まで、東武線北千住駅ガード下にある千住壁画の道ギャラリーで、「千住の遊びこころ」など12のテーマに沿った風景写真展を行い、4月13日(土)、14日(日)は、江戸時代の蔵の建物・千住宿歴史プチテラスで「北千住『島』プロジェクト 巨大迷路を突破せよ~活動の軌跡」展を開いた。
 来場者は100人以上。鶴巻さんは「様々なジャンルの人と対話ができ、本当に千住が愛されているということを再認識しました」と語る。今後は、一筆書きのまち歩きの再確認をしながら、「路地のまち千住」を語るイベントを実施したいという。
【メモ】SNS/Facebookページ 北千住「島」プロジェクトを検索

写真上/写真集を手に千住の路地で鶴巻さん
下/鶴巻さんが呼び掛けたまち歩きのイベント