足立朝日

不幸な犬猫を救う会 竹の塚在住 多田 和恵さん

掲載:2006年11月5日号
不幸な犬猫を救う会
竹の塚在住
多田 和恵さん

 「動物がほんとうに好きなのね。そう言われるとほんとうに腹が立つ」と憤慨する多田さん。
犬や猫の保護活動を始めて、約25年になる。20年前は道に野良犬がたくさんいた。捕獲されそうな犬を車に乗せられる寸前で助けたこともある。「どうしてこんなに不幸な子がたくさんいるんだろうと思った」と当時を振り返る。好きで始めた活動ではない。見て見ぬふりができない、それだけのことだ。
 動物を病院に連れて行くと「犬猫なんかにお金をかけてばかみたい」と言われた時代だった。活動に理解を示す人は少なかった。不幸な子を減らすには、やはり避妊・去勢は必須だ。
 「その主旨を賛同できる人たちだけで」と「不幸な犬猫を救う会」を発足。避妊・去勢を安く提供してくれる病院を探すために、2000人の獣医に手紙を出し、返事が来たのが100通。その中でも「バカにするな」といった誹謗中傷の内容や、患者を紹介して欲しいだけの獣医などが2~3割もいた。

活動をやめられる日が来ることが願い
 現在は、東京・埼玉・神奈川・千葉の首都圏の動物病院約80件と提携し、去年だけで約5万匹の犬・猫の避妊・去勢を行った。「特に犬は雑種の子の里親を探すのが大変。ブランド物のバックと同じ感覚の人が多くて。同じ命なのに」と日本の現状を憂うが、雑種の地位向上も目指している。
 多田さんは「地域猫」の活動にも精力的。「地域猫」とは野良猫の世話をすること全般を指す。
 猫達に定期的に餌をやり、お金を出し合って、その地域にいる野良猫がこれ以上繁殖して増えないよう、避妊・去勢手術を施し手術済みの猫には地域猫と一目で分かる耳ピアス等の印を付けて、管理をしていくというもの。 個人で活動している人は莫大な費用を自腹で負担しているので、活動には限界がある。「地域猫」として地域の方々から認識されることによって理解と協力を得られるよう、努力を重ねる。
 「餌は与えるがこれ以上殖やさない」
猫のためにも、地域の住民のためにも。
 猫は好きで野良猫になっているのではない。無責任な人間が不幸な子を殖やし、モノを捨てる感覚で猫を捨てているのだ。「私たちの活動が必要の無い時代が来て欲しい。それが一番の願いです」。それには、一般の飼い主のモラルの向上が不可欠だ。