足立朝日

羅針盤 VOL.97

掲載:2019年10月5日号
 この新聞が出る頃には、小売り店やコンビニ、スーパーでどんな騒ぎ、混乱が起きていることやら……。
 10月1日(火)から消費税が8%から10%に上がった。「軽減税率」なるものが導入されたため、「原則として」の枕詞を付けなければいけない程の複雑さになって、国民はほとんどおいてけぼり。頼みの小売店など売る方も思案投げ首、七転八倒。ある中小スーパー店主は、導入前に「いくら研修をやっても、レジでの混乱は目に見えている」と嘆いていた。
 「軽減税率」の導入は、政治的な駆け引きの中で生まれたものだが、今回は「キャッシュレスの普及」という政権側の「大命題」が加わり、「ポイント還元」なるものが喧伝され、混乱に拍車をかけている感が強い。
 スポーツ紙に出ていた記事まがいの広告によると、軽減税率を簡単に計算してくれるある電卓メーカーの「軽減税率電卓」なるものが、飲食店を中心にバカ売れとのこと。よく読むと、店内飲食10%、持ち帰り8%を分けて打ち込むのは結局人間で、複雑な合計を自動でしてくれるだけ、と理解した。いやあ、この世界、ますます魑魅魍魎が跋扈する世界になっていく。ああ――。(編集長)