
「足立区で何かできることを」
明大中野高校在学中の94年11月に初土俵を踏み、96年5月には十両にスピード昇進。同年11月に新入幕を果たした。01年に大関に昇進し、初優勝。その後横綱を期待されながらも怪我に泣き、異例とも言える2度の関脇陥落からの復活や、8度の角番脱出など、その度に不屈の精神力を見せつけてきた。

5月30日、区長応接室で。右から玉ノ井親方、栃東、おかみさん
玉ノ井部屋(西新井四丁目)の栃東が、多くのファンに惜しまれながら5月、大関で現役を引退した。足立区の誇りと希望でもあった栃東の功績と栄誉を称え、区から特別功労賞が贈られた。平成13年の大関昇進時にも、特別体育功労賞を受賞しており、2度目。
5月30日、栃東大裕氏(30歳)は、玉ノ井親方、おかみさんで母の千夏さん、講演会会長の金子治郎さんと共に、区役所を訪れた。180㎝、150㎏の大きな体を黒っぽいスーツに包み、まだ慣れないというネクタイ姿を披露した。鈴木恒年区長から渡された表彰状を、神妙な表情で受け取った。
鈴木区長は「非常に寂しい。3度の優勝で足立区に勇気を与えてくれた。今後は経験を持つ親方として第3、第4の栃東を生み出して欲しい」と述べた。
現在、年寄・栃東は部屋付き親方として、後進の指導に当たっている。今後は「新弟子を集めるためにいろいろ足を運びたい」。また先日、玉ノ井親方の故郷・相馬市と足立区で災害協定が結ばれたことに触れ「足立区のことで何かできることがあれば、やっていきたい」と語った。引退相撲は、来年2月2日に予定されている。