足立朝日

第7回アドルフ・サックス国際コンクール優勝 サックス奏者 齊藤 健太 さん(27) 舎人在住

掲載:2020年1月5日号
情熱的な演奏でようやく掴んだ優勝

 「ベルギーで行われていたアドルフ・サックス国際コンクールにおいて足立区出身の齊藤健太さんが優勝」といううれしいニュースが飛び込んできた。同大会は、サクソフォンを発明したアドルフ・サックスの生誕の地であるベルギーで、没後100周年の1994年から始まった同楽器における最も権威のある大会のひとつ。世界各国から3年に一度、毎回300人以上が出場、昨年は10月28日~11月9日に開かれた。
 舎人第一小、第十四中出身の齊藤さんは、これまで高校生から出場してきた国内外の大きなコンクールで結果を残せない苦悩の日々を過ごしていた。両親から「30歳まではやりたいことを頑張りなさい。それでダメなら就職すればいい」と言われてはいたが、大きなサックスの大会には年齢制限があるためこれがラストチャンスと挑んだ今大会。一次予選ではバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番よりアルマンド、二次予選ではコルニオの牧歌と田園風舞曲など各3曲を、本選ではルドゥのノエマとグラズノフのサクソフォーン協奏曲の2曲を演奏。いずれも難しい課題曲を、情熱的で感情豊かに演奏し、審査員や一般の観客を魅了。悲願の優勝を勝ち取った。
 「普段はあまり興味を示さない父が、トロフィーや楽器を見せてみろと言ってきたり、自分以上に喜んでいる様子がすごくうれしくて優勝出来て良かった」と話す。
 サックスとの出会いは中学生の頃。きっかけは、小学生時代にはまっていたネットゲームの仲間たちとの「中学に入ったら何部に入るか」の話。そこで、アルトサックスがかっこいいから吹奏楽部に入るという話題があり、吹奏楽部に入部。もともと母がフルートをやっていたり、姉が習っていたピアノの影響でピアノ教室に通っていたこともあり、音楽には興味があった。実際にサックスに触れ、表現の幅の豊富さや、他の楽器の良さを引き出せることに魅力を感じた。中学では全国でもトップクラスの実力を誇る十四中の吹奏楽部で全国大会を経験するなど、貴重な経験を重ねた。
 その後、駒澤大学高校、洗足学園音楽大学、東京藝術大学音楽学部別科を経て、現在は藝大時代に知り合ったメンバーと「Saxophone Quintet FIVE by FIVE」として活動するとともに、日本を代表するコンクールの入賞者や国内外のオーケストラで活躍する若手奏者などで構成するブリッツフィルハーモニーックウインズのコンサートマスターとして活躍している。
 12月9日(月)には区役所を訪れ、区長を表敬訪問。「人を一番感動させるのはわざとらしくない音楽。自分のやりたいことを自然な流れでどう表現するか考え、一人でも多くの人にサックスの魅力を伝えていきたい」と夢を語った。
【今後のスケジュール】1月18日(土)午後7時から文京シビックホールで優勝凱旋コンサート(問合せTEL3917・5150)、9月にギャラクシティで演奏予定。

写真/アドルフ・サックス国際コンクールで演奏する齊藤さん=©AIAS-Jean-Pol SEDRAN