足立朝日

ミルピックアップVol.23 三遊亭志う歌 独演会

掲載:2020年7月5日号
チャレンジングな落語で活力を

 ファン待望の「三遊亭志う歌 独演会」が、この8月、アイリスホールで行われる。
 2004年に三遊亭歌武蔵に入門して16年、今年3月に真打に昇進し、高座名を歌太郎から「志う歌」に改名。真打昇進披露興行に向けて準備万端態勢であったが、新型コロナウイルスの影響を受け、公演はことごとく中止に追い込まれた。しかし、その立ち直り方が素晴らしい。「悔しかったですね。でも、あくまで真打昇進はスタートラインでしかないので、これもきっといつか芸に生きてくれると思います。全ての経験が芸に生きるはずなので」
 二松學舍大学で落語研究会に所属し、実際に落語家になった理由が常に前向きな志う歌らしい。「自分はやりたい事を見つけるために大学に入ったので、それが見つかればいる意味がないと思ったのが大学を辞めて入門した理由です。落語という難しい攻略できないかもしれないものに出合えた喜びはとても大きく、この道で生きていきたい、極めたいと思いました。また自分にならそれができるという意味不明な根拠のない自信もありました」。歌武蔵師匠観察眼も鋭い。「師匠はすごくうまいのですが、面白いと言われるのは、うまさが面白さで隠れてしまうくらいに面白いからなんです。うまいは普通。面白いはそれよりさらに上。と私は思っています。それよりさらに上は、すごい。私はそうなりたいです」
 失敗を常にプラスにして飛躍する姿も見事だ。「基本的にはしくじりは、自分の名前を覚えてもらう最大のチャンスだと思っています。すでにマイナスになっているのだから、しくじりをリカバーして普通以上のことができさえすれば、必ず大きなプラスに転じます」。芸のための心がけは、「つねに自分の心の声を聞く事を第一に考えて、それに100%の力を注ぎ込んでやりぬく。その積み重ねで感覚が鋭敏になって常にアンテナを張っていると、勝手に自分の中に様々な経験がより深く入り込んできて自分がより深みを増していくんです」。「達筆な落語家は噺がうまい」と言われる。その代表格の志う歌の噺に酔いしれたい。
【日時】8月22日(土)午後1時30分【場所】かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール【料金】2500円【チケット】TEL5670・2233