足立朝日

CM、舞台、ラジオなど多彩に活躍 演出家・振付師 パーツイシバさん(51) 足立区在住

掲載:2020年12月5日号
喜んでもらえることが楽しい

 シャープな動きの中に、心が弾むようなリズムが見え隠れする。ダンスとパントマイムによる独創的な振付は、「楽しむ」ための仕掛けのようだ。
 手掛けた作品は数知れず。コンサートの空間演出、舞台、宝塚歌劇団での指導、ミュージックビデオ、テレビ番組、映画など幅広い。CM作品は本木雅弘のロボットダンスが印象的な「サントリー伊右衛門」をはじめ、「ポケモンGO」「モンスターハンターワールド」など世界でも広く知られる。
ずか15秒のために用意する振付は、なんと50パターン以上。「監督のイメージを超えるものを出すようにしている」。長年の努力と経験により培われた豊かな創造力で信頼に応え、各ジャンルのトップクリエイターたちとの作業に「勉強になる」と目を輝かせる。
 勉強もスポーツも特に得意ではなく、「小5の頃から『どうやったらぼくは輝くのかな』と何かを探していた」というから只者ではない。12歳でマイケルジャクソンのパフォーマンスに出会い、芸能界入りを決意。バイトを掛け持ちし30万円貯めてから父を説得、高校卒業後に北海道から東京へ出た。
 夢を実現できたのは、「やめなかったから」と軽やかな一言。「一生涯やると決めたことだから、動じない。楽しいんですよ」と穏やかな声にはてらいがない。
 独学で身体表現や演劇を学ぶとともに、日々の全てを糧にしてきた。40歳で出演したテレビ番組「ほこ×たて」がターニングポイントに。入る仕事は不思議と常に自分の持つ力の「1ランク上」。チャレンジすることで、ステップアップを続けてきた。
 50歳を機にタレント活動もスタートした矢先の今年、コロナ禍で半年間、仕事が止まったが、12歳の娘とゆっくり過ごすかけがえのない時間になったという。身体と同じく心もしなやかだ。
 「すごく大事にしている」と語るのは、10年前から始めた障害者施設での福祉活動。「重度の障害の人も十分ダンスを楽しめる。微力だけどぼくの力を使えたらうれしい」。小学校でも指導しているが、足立区ではあまり活動がないのを残念がる。「子どもたちのために何かしたい。声をかけてもらえれば喜んでやります」
 ダンスの達人は、力まず人生を楽しむ達人でもある。明るい可能性の見つけ方を教えてくれる。
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