足立朝日

箏・地歌三味線演奏家 藤重 奈那子さん(24) 足立区在住

掲載:2021年1月5日号
10歳で芸大進学を目指して研鑽

 「心の琴線に触れる」とは、まさしくこのことだろう。箏・地歌三味線演奏家の藤重奈那子さんのたおやかで力強い箏の音色と、張りのある艶っぽい地歌、そして卓越した三味線演奏――和楽器と地歌の魅力を存分に堪能できる至福の時間だ。
 大阪生まれの藤重さんは、箏曲家である母の師匠の追悼演奏会で9歳にして箏を独奏。その体験から本格的に箏を習い始め、10歳で既に「東京藝術大学入学!」に目標を定めた。12歳で全国小・中学校箏曲コンクール「小学生の部」で銀賞を獲得して以来、多くのコンクールで入賞実績を重ね、2015年、遂に念願の東京藝術大学音楽部邦楽科生田流箏曲専攻に入学。2019年の卒業時には、皇居内桃華楽堂で御前演奏を務めた。同大学院音楽研究学科箏曲生田流へ進学後、K邦楽コンクール「現代部門一般」で特別優秀賞(第1位)他、いくつもの賞を受賞し、現在、小学校でのワークショップをはじめ幅広く活動中。
 足立区では、1月24日(日)午後1時~2時30分「路地裏寺子屋rojicoya」(千住旭町36-1)で、演奏会と演奏家と話せるお茶会を行う。料金=一般3500円、中学生以下2500円(rojicoya特製お茶菓子と静岡茶付)。演奏は藤重さん(箏)岡本悠希さん(箏)、津上弘道さん(尺八)。同ホームページで要予約。藤重さんは「伝統文化は、その時代に合った風を入れてこそ継続できるもの。特に子どもたちに箏の魅力を知ってもらい、それが興味を抱くきっかけになれば。区内の学校、どこにでも伺います!」と力強く話す。
 また、前述の3人による演奏会を以下の日程で行っている。「奇数月第3土曜日」①午後1時~2時30分②午後3時から4時30分「お茶屋さろんkaSHIMA」(台東区浅草4-7-3)2階。直近の演奏会は1月16日(土)、予約・問合せはsasanotsuyu.sankyoku@gmail.com
 このコロナ禍でも、藤重さんは常にどっしりと構えてマイペース。ホームページも完成させた。「辛い、苦しいばかりではない。生演奏の魅力を伝えるためにも、伝統音楽のリモート演奏やSNSの充実を図ることは、新しい世代や地域を超えた出会いとなるのではないかと思う。相手に『私らしさ』が届くような演奏を一番意識したい」――周囲から「ママ」と慕われる由縁である。