足立朝日

「出没!アダチック天国」が完結 漫画家 吉沢 緑時 さん

掲載:2021年4月5日号
足立区の「人」の面白さを発掘

 足立区の面白さは「人」にある。それをピリリとスパイスを効かせ、ユーモアたっぷりに描いているエッセイ漫画「出没!アダチック天国」。吉沢さんが担当編集者のⅠ島氏とともに3年半にわたって現地に足を運び、見聞きした等身大の姿を紹介してきた連載がついに完結。2月に2冊目のコミックスが発売された。
 足立区民であるI島氏との二人三脚から生まれた作品は、外からの目線だからこその数々の驚きや発見と、愛ある眼差しのバランスが絶妙だ。
 「初めは面白おかしく描くことを考えていたが、そのうち、テレビ番組で足立区をコケにされるとイライライするようになって」と笑う。何かあっても淡々としている人々のたくましさを「ケセラセラ感がすごく好き。足立区は一番バランスがいい。ヤンチャな感じが残っているのがいいなと」と評する。
 漫画家を目指したのは25歳と遅く、経緯も異色だ。10代で外資系の広告代理店に就職し、CMに係わる仕事をしていた。順風満帆で「調子こいてウォーターフロントに住んでいた」が、腱鞘炎が悪化し22歳で長野県に帰郷。小学生の頃から絵が上手く、友人たちからの後押しもあって、第2のスタートを切った。
 自分の世界にこだわらず、編集者と作っていくこと自体を楽しむ。「山頂を目指すのではなく、自分は3合目か4合目で茶屋を開く感じ」。その気負わないスタンスは、足立区との相性の良さだろう。
 今後は「絵柄にもこだわって、ミステリーなどシビアな話に挑んでみたい」という。「足立区にいずれは住みたい。5年後ぐらいにアダチック天国3とかできたらいいですね」
<発売情報/竹書房>
◆コミックス「出没!アダチック天国」(税込1100円)=写真、「出没!アダチック天国 極」(税込1210円)
◆雑誌「まんがライフオリジナル」5月号(4月9日発売)=新刊発売記念ゲスト。大師前駅「はっぴーだるま工房」を取材した作品を掲載。
▼書店▽スーパーブックス・竹ノ塚駅前店▽くまざわ書店・西新井店▽山下書店・綾瀬東口店▽文真堂書店・足立花畑店▽ブックファースト・北千住ルミネ店(いずれも店頭にない場合は書店員に問い合わせを)
★「出没!アダチック天国 極」を3名にプレゼント。

写真上/吉沢さん自画像