足立朝日

荒川河川敷、しょうぶ沼公園…… 要注意外来生物・黄菖蒲が繁殖中

掲載:2021年6月5日号
 読者の皆さんの中には最近、鮮やかな黄色に咲く菖蒲「黄菖蒲」を見たことがある人がいると思うが、この黄菖蒲が現在、区内においてすごい勢いで増殖している。「きれいだな」などと呑気に構えているうちに、従来の江戸花菖蒲を駆逐する場所も出始め、管理して栽培する必要がありそうだ。
 「黄菖蒲」は、西アジア、ヨーロッパ原産で、明治頃から栽培されていたものが日本全国の水辺や湿地、水田脇などに野生化、拡大している。
 環境省は「要注意外来生物」の一種として「栽培にあたっては、逸出を起こさない」「すでに野生化している湖沼などがあり、在来種との競合・駆逐などの恐れがある場所については、積極的な防除または分布拡大の抑制策の検討が望まれる」として警戒を呼び掛けている。日本自然保護協会、日本野鳥の会、世界自然保護基金では「生態系に与える影響や侵略性が高いので、気を付けて栽培しよう」としている。
 本紙「掲示版」の「植物教室・あだち道草の会」でお馴染みの一ツ家3丁目在住の萩原循さん(71)は「『要注意外来種』は『特定外来種』とは違い、栽培や捨てるのも禁止という厳しい概念ではないが、河川敷とか水辺ではよく見かけるようになった。人により管理されている場所では問題はないが、池や川辺などに野生化したものは、地下茎と水に浮いた種により範囲を広げて行き、在来種と競合し駆逐する恐れもあり、近縁種などと交雑し遺伝子のかく乱も危惧される」と話している。

写真/荒川河川敷小菅地区、野鳥観察をする人々の脇で咲く黄菖蒲(綾瀬6丁目在住・小久保彰さん撮影)