足立朝日

羅針盤 VOL.117

掲載:2021年6月5日号
 ウイルスをやっつけるためのワクチン接種が進んでいる。だから、もういい加減に退散してくれればいいのにと誰もが思っている。
 「日常」とか「普段」が消えてしまって1年以上。この間、行きつけの居酒屋やレストランなどに通えなくなり、楽しいはずのイベントは中止となり、また県境をまたぐような旅行に行けなくなった。親しい人との接触や会話が減り、疎遠になり、本当にさみしい限りである。ストレスは溜まる一方だ。
 「おごり高ぶった人間への懲罰だよ」などと言う人もいるが、一体誰がそんな懲罰を与える命令を出したというのか。この世には、命令を出す神や仏はいない。いるのは、日々働き、食べ、飲み、休み、眠る人間がいるだけである。
 試練に耐え、克服する日まで、粘り強く、山・坂・峠を越えて――。
 「山が高いからといって引き返してはならない。行けば必ず越えられる」(モンゴルのことわざ)  (編集長)